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“意識高い系”の学生には「ダメ出し」が必要だ

8/4(金) 7:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

 夏がやってきた。近年、盛り上がりを見せているインターンシップの季節である。リクルートキャリアの調べによると、インターンシップの募集社数は6月時点で8146社であり、既に前年の約1.5倍だ。

【インターンシップ猛者学生は、「グループワーク」の仕切りも慣れている】

 学生への早期接触の手段として注目されていることや、売り手市場化などもあって、企業は力を入れている。もっとも、半日のセミナー形式のものなど、短期間のプログラムも多いのだが。

 このインターンシップだが、意識高い系ウォッチャーとしてはたまらない機会である。10年前から変わらず「インターンシップの猛者学生」が必ず毎年いるからだ。「インターン荒らし」「プロ学生」とも言う。インターンシップの流儀を極めている者たちのことである。

 講師に質問するときに「本日は貴重なお話、ありがとうございました」と前置きする「キチョハナ感謝」は当たり前。そして、質問と一緒に自分をアピールするのも上手だ。

 「私は学生団体でリーダーをしており、○○さんのような経営者を招いた講演会を企画してきました。ゼミでも人材マネジメントを専攻し、特にリーダーシップ論に興味があります。そこで質問なのですが、○○さんにとって、リーダーシップとは何ですか?」なんて質問をする奴がいる。お前、長いよ!

 もっとも、これは学生だけではなく、会社員も駆使している技である。

 仕事柄、地方で中堅・中小企業向けの採用ノウハウセミナーの講師をすることが多いのだが、ここには人材ビジネス会社の営業マンが潜入していたりする。セミナーの参加企業に営業をかけるためだ。こいつらの質問がまたウザい。

 「このセミナーは主に新卒採用向けでしたが、地方の中堅・中小企業にとっては中途採用の強化も課題だと思います。私は人材紹介会社に勤めている者ですが、実際、このエリアで転職を希望している大手企業出身者が弊社に多数登録しています。今後の企業の採用ポートフォリオはどう変化すると思いますか?」って、お前、普通に営業するなよ。質問と何が関係あるの?

●企業はしっかり、学生にダメ出しをしよう

 インターンシップ猛者学生は、学生同士で共同作業を行う「グループワーク」の仕切りも慣れている。

 「じゃあ、最初に役割分担を決めましょう」「30分あるので、課題の抽出に5分、取り組み事項の決定に5分、提案作りに10分かけましょうか」みたいなトークを連発する。さらには、あまり発言しない学生に「○○さんはどう思います?」などと振る。人事担当者にアピールするかのように仕切るのだ。

 この手の学生にもツッコミどころはある。よくあるのは、グループワークで何かを提案するときに「SNSを使って拡散させます!」という内容を盛り込む奴らだ。

 「すごい提案をしてやったぞ」と思っているかもしれないが、そうそう拡散などしない。企業がどれだけ拡散に苦労していることか。実際に拡散しているものは、コンテンツや広告に相当お金をかけている場合が多い。この連載だって、「今週は拡散するかな……」と、いつもドキドキしているのだ。一番拡散したのは「BOOWY好き上司との付き合い方」だったな、そういえば。

 インターンシップに熱心なのは結構だが、企業にチヤホヤされて調子に乗ってしまっては困る。企業はしっかりと、学生をダメ出ししてあげないといけない。

 有効なのは、学生の考えに対して細かく質問することだ。「その企画はどんな人がどんなときに喜ぶの?」「実現するための課題は何? その課題はどうやって解決するの?」といった具合にだ。また「机上の空論」「頭でっかち」などとしっかり言ってやるのも良いだろう。

 さらには「それって元ネタ、ドラッカーでしょ? しかも、それドラッカーの本じゃなく、『もしドラ』でしょ?」みたいに、受け売りを指摘してあげるのも効果的だ。

 多くの学生にエントリーしてもらいたいという企業側の気持ちも分かるが、学生に気付きを与えることがインターンシップ本来の目的だ。ミスマッチをなくす上では、企業にとっても学生にとっても大切なことである。

 ちやほやせず、しっかりとダメ出しすることを企業に期待したい。


(常見陽平)