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『ストリートファイターV』プロゲーマー・ボンちゃんインタビュー!――格闘ゲーム世界大会“EVO2017”を終えて

8/4(金) 20:03配信

ファミ通.com

文・取材・撮影:編集部 豊泉三兄弟(次男)

●EVO2017を終えて――
 2017年7月に開催された格闘ゲーム世界大会“EVO2017”。既報の通り、ファミ通.comでは、レッドブルアスリートとして活躍するプロゲーマー・ボンちゃん選手(以下、ボンちゃん)の動向を取材した。ボンちゃんは、約2600人が参加した『ストリートファイターV』部門に出場し、まさかの初戦黒星スタートとなったが、なんとそこから15連勝を達成して最終日に残れるTOP8決定戦まで駒を進める。しかし、最後は同じ日本のプロゲーマー・MOV選手(春麗)の前に敗れ去ってしまった。

 そんなボンちゃんに、後日インタビューする機会を得られたので、EVO2017の話題を中心に、使用キャラクターや今後についてを伺ってみたぞ。

※『ストリートファイターV』レッドブルアスリートのボンちゃんは伝説を築けるか? EVO2017大会2日目リポート【EVO2017】

――まずはEVO2017出場、お疲れ様でした。トーナメントを振り返ってみて、いかがでしたか?

ボンちゃん 結果的に9位まで行けたから、がんばれたと思います。初戦で負けてしまったあとは、トーナメントのいいところに入れたのですが、後半はいつ負けてもおかしくない相手ばかりでしたね。

――TOP8に近づけば近づくほど強敵と当たり、接戦も多かったですね。

ボンちゃん そういう接戦をモノにできたのは自分の成長だと思うし、そういった面では、自分をほめてあげられる部分かなと。でも、最後に負けてしまった対戦相手のMOV(7位入賞を果たしたプロゲーマー)に関しては……。正直自分が想像していたよりもかなり強かったです。彼が使う春麗というキャラクターは、ナッシュにとって相性的に絶対勝たなきゃいけないマッチングだったんです。僅差で負けた試合は時の運もあるとは思っているのですが、彼との対戦では自由に戦わせてもらえる時間がすごく短くて。

――かなり辛い対戦だったんですね?

ボンちゃん 自分のキャラクターが有利に戦える展開でもぜんぜん楽をさせてくれなくて、その結果選択肢が狭まってしまい、その選択肢すら対応されてしまった、という試合でした。でも、納得のいく負けだったと思います。すごく価値のある負けかたでしたからね。

――MOVさんは、今後もカプコンカップで当たることになるかと思います。

ボンちゃん 個人的にMOVには、カプコンカップ本戦まで上がってきてほしいですね。春麗は、いまの環境だと彼くらいの練度があって初めて戦えるキャラクターですから。ああいったキャラクターのポテンシャルを引き出せる人は、大きい舞台でプレイしてほしいと思っています。

――立ち位置としては、ナッシュを使うボンちゃんと非常に似ていますね。

ボンちゃん そうですね。お互い、シーズン1のころのキャラクターがすごく強かったのですが、シーズン2になって大幅に弱体化してしまった。当然、勝つことが第一なので強いキャラクターを使うのは当然ですが、そうしなくてもいくらでも戦いかたはあると思って使い続けたんですよ。

――シーズン2からキャラクターを変えたプロゲーマーも少なくないですよね。今回のEVOでは、ももちさん(EVO優勝経験のあるプロゲーマー)がいぶきを使っているシーンもありました。

ボンちゃん 最近のももちくんは、いぶきのほうが使用比率が高い印象を受けますね。ケンはシーズン2ではかなりキツい状況になっていて、それでいぶきを選ぶことのほうが多くなったんだと思います。このゲームはキャラクターの差を覆すのが本当にたいへんで、いまのケンは長所や武器が少ないんですよね。一方、いぶきは最強キャラクターの一角だから、勝ちやすさは段違いでしょうし。でも、個人的には、ももちくんはケンを使っているときのほうがすごくワクワクします。だから「彼にはケンを使ってほしい!」と思っています!

――そのあたりは難しい問題ですよね。こういった勝負では勝つことが第一なわけですし。

ボンちゃん そうですね……って、なんでこんなにももちくんのことを話してるだってことですけど(笑)。

――(笑)。では、話題を変えまして、初戦に敗北してから15連勝。かなりの長期戦でしたね。

ボンちゃん いや~ふだんは大会でこんなに試合をすることはないので、もう疲れました(笑)。そもそも、通常の大会はこんなに参加者数が多くないので、どんなに勝っても7勝、8勝すれば最後まで行けちゃうんです。いい見かたをすれば、こんな注目される大会で2ケタを超える試合をこなせたのは、貴重な経験でした。あと、結果論なんですけど、もしもプールをウィナーズで抜けていたら、9位までは行けなかった可能性が高いですね。

――え、どういうことですか?

ボンちゃん EVOが終わってからトーナメント表を見返していてわかったんですけど、順調にウィナーズを勝ち上がったと仮定した場合、TOP64付近でsakoさん(今回13位のプロゲーマー)と当たっていたんですよ。仮に、そこでsakoさんに勝ったとしても、そのつぎにMOVと当たっていたんです。

――ウィナーズで進むと、きびしい相手に早い段階で当たっていたんですね。

ボンちゃん そこでMOVに負けたとすると、ルーザーズに落ちたさきにいるのはK-Brad(アメリカのプロゲーマー)、そのあとはハイタニくん(日本のトッププロプレイヤー)と当たるのかな。「ぶっちゃけそっちのほうがキツいわ」みたいな(笑)。

――ボンちゃんとしては、あそこで落ちたからこそ、9位まで勝ち上がれたということですか?

ボンちゃん トーナメントではよくあることなのですが、負けても必ずしも悪い方向に進むわけじゃないんですよね。ウィナーズで進んでいても、サクっと2連敗して終わることも多いですし、ルーザーズだとはいえ、相性のいい相手と当たることができれば勝ち上がれますから。今回は結果的に「15連勝してすごい」と言われていますが、初戦で負けたから15勝できたとも言えたかなと。もちろん、きびしい試合が続きましたけど、「この一瞬だけ読み勝てば俺の勝ち!」 という状況をしっかりものにできたので、トータルで見るとツイていた日だったなと。とはいえ、今回はかなり充実感があります。

――やっぱり勝ち上がると楽しいですよね。

ボンちゃん そりゃあすごくうれしいですよ。とくにEVOの場合は、どんなに強いプレイヤーでも500位とかで終わることもあるし。予選に限って言えば、今回いちばん楽しめたプレイヤーは俺なんじゃないかと思っています。誰よりも対戦しただろうし。でもやっぱりMOVの壁は高かったですね(笑)。

――MOVさんの実力は予想以上でしたか?

ボンちゃん ネモ(Red Bull Kumite 2017優勝のプロゲーマー)がMOVに負けて、ユリアン戦はうまそうだなというのは漠然と思っていました。ネモは今回優勝候補に挙がるくらい強いプレイヤーなので、その彼を倒したMOVはすごい仕上がっているんだろうと。ネモも「思った以上に強くてビビった」と言っていて、実際に対戦してみたら俺も同じ印象を持ちました。

――MOVさんに負けた瞬間は、力が抜けて伏せていましたけど、あのときはどんな気持ちだったのでしょうか?

ボンちゃん 負けたときは「うわーっ」というのがまずあって、そのつぎには「なんで負けるかねー」という想いがこみ上げてきました。やっぱりトップ8に入るのはひとつの目標なんですよ。トップ8以降は、みんなが観てくれている大きなステージで対戦できますから。初戦黒星スタートして、その後は幸運が続いて勝ち残れて、それで最後の最後で負けてしまうのは、情けなくも感じるんです。ここまでお膳立てしてもらって負けてしまうのかって。

 俺はふだんあまりツイッターは使わないのですが、大会中のふとしたタイミングでツイートしてみたら、たくさんの人から応援の言葉をいただいて。みんな観てくれていたのに、「なんで仕事できないかなー」って。だから悔しくもあり、申し訳なくもあり……。負けた瞬間はいろいろな感情がこみ上げてきましたね。

――でも、それくらい見てくれている人がいるなかでプレイできるというのは、プレイヤー冥利につきますね。

ボンちゃん 多かれ少なかれ、自分に対しての言葉というのは目にするじゃないですか。負けたら非難されることもありますが、それも含めて、自分を見てもらえているということだから、うれしいですよね。非難するようなコメントに対して自分に心当たりがあるときは、「これは言われてもしょうがないな」と受け止めることにしていますし。たとえば今回の場合は、体調を崩してしまったこととか……。

――見ていてかなりキツそうでした(笑)。

ボンちゃん (笑)。これについては「何してんだ!」と言われても、「すまん!」としか言えないんですよ。だってマジで腹いてえんだもん(笑)。ネタっぽく言われていることもあるようでしたけど、「マジだったんだって釈明はしたい(笑)」。……まあ、そんなスタートだったけど、あのまま第1プールで負けましたってたら、俺はどうしようもない奴と思われても仕方ないと思うんですよ。年1回しかない大規模な大会に参加して、腹痛でプール敗退しましたという終わりかたはやばい(笑)。そういう意味では、第3プールに入った時点で最低限の仕事はこなせたなという実感が沸いたので、そこからは気が楽になりましたね。

●「絶対に勝ちたいのはカプコンカップ」サブキャラの投入も視野に
――ボンちゃんが初戦敗退したのはかなり珍しいと思うのですが、過去にそういった経験はありますか?

ボンちゃん 小規模な大会でならあります。それか、招待制で参加者全員がトップレベルで最初から“デスプール”だった大会とか。でも、EVOは約2600人も参加していますからね。そういった大規模な大会で初戦負けはなかったと思います。あと、今回の教訓として、「プレイする環境を妥協しちゃいけないな」というのがありました。

――と言うと?

ボンちゃん 負けてしまった初戦は“配信台”(Web配信の台で、ステージ上でプレイする)でプレイしていたんですけど、ふだんプレイしている位置よりもモニターが遠くて画面が見にくかったんです。でも、今回はそういう仕様なんだろうと思っていました。

 で、そのあとにジャスティン戦のときも、モニターが遠かったんです。「これ嫌だな~、もう注意されてもいいや」と思って、モニターを手前に寄せたんですけど、とくに何も言われなくて。何も言われないなら、「もうこれでやってしまおう!」ということがあって、やはり気になる部分はひとつでも残しちゃダメだなと。あと、思い返すと、いつも持ってくるサプリを忘れてしまっていて……。

――もしかしたら、腹痛もそうですが、緊張があったのかもしれませんね。EVO以前が好調だったから、そのぶん注目も高かったですし。

ボンちゃん そうですね……。トーナメントのポジションがかなりいい位置だったので、もしかしたら勝てそうだと浮足立っていたのかもしれません。俺が入っているトーナメントは、ほかの日本のプレイヤーと比べてもぶち抜けて強い人がそれほどいなかったんです。もちろん、強い人はいますけど、ほかの人に比べればメチャメチャ楽。事前のWeb番組で「トップ8に残れる確率は?」という答えに「20%」と答えたくらいですから。まあ、足元すくわれるのはそういうときに限ってなんでしょうね。今後はもっと気を引き締めたいと思っています。

――そういったところも、今後は対策していきたいですね。そういえば、ボンちゃんの試合を、インフィルトレーションさんが見に来ているシーンもありました。

ボンちゃん 同じキャラクターを使っていますし、ナッシュの試合は気になるんじゃないですか? 俺もナッシュを使い始めたときは、ずっと彼の対戦動画を観ていましたから。シーズン2当初は使っている人がほとんどいませんでしたが、現在のバージョンになってからはナッシュをプレイする人も増えてきているようです。対戦でナッシュにマッチングすることも増えたし、うまい人の動画も増えてきたんで。そういう意味では、楽しみが増えてきたんですよ。シーズン2スタート時は、本当にナッシュを使う人がいなかったから、対戦動画も全然アップされていなかったし、つまらなかったんです(笑)。

――ボンちゃん以外にほとんどいませんでしたもんね。

ボンちゃん ほかの人の対戦動画を観るのはすごく楽しいし、勉強になりますから。自分が対戦していて、疑問に思ったところはしばらくすると忘れることが多いので、そういった部分も動画では復習できるから、ほかの人試合だけではなく自分の試合などを機内の移動中とかにも、観ることが多いですね。

――自分の対戦動画を観ることもあるんですね

ボンちゃん 自分を客観視するのは重要ですよ。日本にいると観ることよりもプレイすることのほうが楽しいから、どうしてもプレイを優先しちゃうんです。だから、飛行機の移動中は動画を観るようにしていますね。プレイも大切ですけど、動画を見返して新しい発見をしたほうが役に立つこともありますし。

――自分のリプレイデータをほかの人に見られることに対してはどう考えていますか?

ボンちゃん 大会で結果を出すと、「コイツを倒さなきゃ」と目標にされる側になるから、「動画を観て研究するのはやめてよ」って思います(笑)。いまのナッシュは頼りないんですよ。動画を観られると、すぐにボロが出ちゃう気がするんです(笑)。本当はこんなに弱い人間じゃなかったんですけどね。『ストIV』シリーズ時代は「いくらでも観ろや!」っていう人間だったなのに(笑)。でも、そのくらいキャラクターの強さって大事なんだなというのは実感しています。どうにも抗えなくなったら、キャラクターを換えるんだろうな……。

――ナッシュからのキャラクター変更ですか?

ボンちゃん そうですね。過去のインタビューでも言ったことなのですが、2017年のカプコンカップに出ることは、俺にとって大きな目標だったんです。2016年がダメだったのはしょうがないことだと思っていたのですが、そのぶん2017年は勝ちたい想いが強いんです。でも、ナッシュが弱くなって、どうなるのかなという不安もありますし、サブキャラクターの使用や新キャラクターもワンチャンあるとは思っています。

――サブキャラクターの使用ということは、たとえば苦手な組み合わせに対してでしょうか?

ボンちゃん いままではナッシュ1本に絞っていましたけど、立場上、何度も同じ相手に負けるわけにいかないですから。ナッシュはキツいとか言うレベルじゃない組み合わせもあって、そういう組み合わせに関しては、「もう練習する意味がない」と思っています。試せることは全部やってダメなら、もうほかのキャラクターで可能性を探したほうが健全なんじゃないかと。ほかのキャラクターを使ったから勝てるわけじゃないですけど、可能性はナッシュよりあると思っています。

――カプコンカップまでにサブキャラクターも含めて納得のいくクオリティーに仕上げていきたいですね。

ボンちゃん そうですね。いままでずっとナッシュを使っていたし、俺を観てくれている人たちは、俺がどのキャラクターに変えたとしても「よくやったね」と言ってくれると思うんですよ。

――そういえば、『ストIV』シリーズでは、サブキャラクターとして豪鬼を使ったこともありますよね?

ボンちゃん 『ストIV』シリーズではサガットを使っていて、フェイロンとか無理な組み合わせがあったんですけど、そのフェイロン用に豪鬼を練習していたことがあります。でも、ふ~どくん(EVO優勝経験のプロゲーマー)にボロボロに負けたことがあって……。だから、俺の中でサブキャラにはあまりいい思い出がないんですよ。『ストIV』シリーズではキツい組み合わせであっても「1キャラをメインで極めれば、いい方向に転がるんだな」という結論に至ったので、サブキャラは極力使わないようにしていました。

――サブキャラクターにはその当時のトラウマがあったり……?

ボンちゃん ありますね(笑)。だから、「大会で使ったらどうなるんだろう?」と。じつはEVOでもサブキャラクターを使う準備はしていたのですが、そういった場面はありませんでした。もし今後そういった局面があれば、サブキャラクターを出す可能性は十分にあり得ます。まあでも、新キャラクターでサガットが出てくれれば、いちばんいいんですけどね。

――サガットがナッシュより強いといいですね。

ボンちゃん ままままま、まあ、強さはふつうでいいですよ(笑)。願わくば、おもしろい調整にしてほしいなとだけ思っています。豪鬼は言わずもがな、コーリンはスタン値をフリーズさせるだとか、エドも新しい試みのキャラクターですし、アビゲイルも評判がいいし、シーズン2の新キャラクターはどれもコンセプトがしっかりしていていいですよね。だからもし、サガットが追加されるなら期待が持てますね。

――確かにシーズン2の新キャラクターはどれも個性がありますよね。シーズン3でアップデートが入ったら化けるキャラクターもいそう。

ボンちゃん コーリンはその代表格じゃないですかね。そういうキャラクターの調整は難しいと思いますが、シーズン1からシーズン2の流れを見ていると、なかなか大会で活躍しないキャラクターは強化されそうですし。

――では、つぎの大きな目標となる大会は、公式世界大会のカプコンカップでしょうか?

ボンちゃん 本当に勝ちたい大会は年末のカプコンカップですが、2017年はそれ以外にもまだまだ大会はあります。どの大会も俺にとって大切ですし、参戦する大会はすべて全力でいこうと思っています。

――ちなみに、そういった大会で得た賞金は何に使っているのでしょうか? アメリカのナックルドゥ選手(カプコンカップ2016覇者)はクルマを買ったりしているみたいですが……?

ボンちゃん まだ家を買えるほど賞金をもらっていませんよ(笑)。基本、何も買っていないですね。そのまま蓄えになっているだけです。というか、都内住んでるとクルマ乗らないんですよ(笑)。だから、いざとなったときのために貯めてあります。

――ゲーム外でも堅実な立ち回りですね(笑)。それでは最後に、2017年後半戦に向けての意気込みをお聞かせください。

ボンちゃん 2017年は、幸いなことにもうカプコンカップ出場は確定していると思います。そこに向けて自分の調子が上がっていく姿を見せていければと思います。応援よろしくお願いします。

最終更新:8/4(金) 20:03
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