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現実は容易に明けない『ガイアの夜明け』~やるせない「一個人対会社の闘い」~

8/4(金) 18:22配信

トレンドニュース(GYAO)

「日経スペシャル ガイアの夜明け」はテレビ東京系列で毎週火曜日22時から放送されている経済ドキュメンタリー番組だ。
多くの銀行が大量の不良債権を抱え、日本経済は先行き不透明だった2002年。「夜明け=日本経済の再生」を目指し、さまざまな経済の現場で奮闘する人たちを追う番組としてスタートした。

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「ガイア」の部分には、“地球規模で経済事象を捉える”という意味を込めているという。ただし「夜明け」=【日本】経済の再生では、“地球規模”と矛盾するのでは、と性格の悪い筆者はツッコミを入れたくなってしまう(笑)。
それでも、ウィキペディアに「大企業ばかりでなく中小企業や地方自治体、あるいは個人にスポットをあてているのが特徴」とある。確かに各回のテーマのラインアップを見ると、とかくマクロ(大企業中心)で語られがちな経済を、アングル低めに構え、視聴者の立ち位置に近い視点で見せてくれる番組であることが分かる。その姿勢には、大いに期待できると感ずる。

■残念な現実

さて、今回のテーマは「密着!会社と闘うものたち 第2弾」。2016年2月9日に放送された「密着!会社と闘う者たち~“長時間労働”をなくすために~」の続編だ。
前回放送では、2015年4月に厚生労働省で発足した「過重労働撲滅特別対策班」通称「かとく」―――長時間労働が疑われる大手企業を対象に、全国にまたがる“大規模事案“を専門で取り締まり、悪質な場合は刑事事件として摘発する―――の実際の摘発の様子が紹介された。さらに全国チェーンの引っ越しサービス会社を現役社員でありながら訴えた、一人の男性のケースを追っていた。
この男性は裁判を起こし、裁判は経過に時間を要するため、続きは後日あらためて、となったのであろう。ところがこの男性は、裁判に持ち込んだ後でなんと懲戒解雇になっていた。

■後を絶たないブラックな現場

今回は2回目ということで内容に膨らみも持たせ、番組の前半では「社会人未満」あるいは「社会に出たて」の学生の、社会経験の浅さにつけ込むようなブラックバイトの例が3例紹介された。コンビニエンスストア、学習塾、飲食店である。

コンビニエンスストアでは、正時14分前にタイムカードを押させていた。15分前だと“15分”分の時給が発生するからである。着替え“6分”分も含めた合計“20分”分の賃金未払いが常態化していた。
個別学習塾では授業前の準備、授業後のテストの採点等の時間に対して賃金が支払われていなかった。
このようなごまかしにも似たやり口は、そこまでするかという呆(あき)れたネタだが、飲食店に関してはより悪質だった。
皿を割るなどのミスに対する罰金という名目のもと、1カ月に300時間以上働いたにもかかわらず、振り込まれた給与は16万円にも満たない。時給450円相当だ。
さらに1日12時間以上の勤務、あるいは4カ月以上の連続勤務といった“長時間労働”に加え、店長(それも女性!)による恐喝まがいの“パワハラ”が加わっていた。携帯に録音されていた罵詈雑言(ばりぞうごん)は聞くに堪えないもの。しかも業務時間外にかかってきている。

「就職活動に響く」と脅され、なかなか辞められなかったそうだ。このような経験や知識の浅さからくる思い込みにつけこむ横暴さや、立場の弱い者に腹いせをする幼稚さは、本当に最低である。

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