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人口18人の島に給水システムを 波板で雨水集め浄化

8/4(金) 18:12配信

福井新聞ONLINE

 福井工業大学(福井市)の学生たちが水道のない長崎県五島列島の小さな島に、雨水を活用した給水システムを構築するプロジェクトに取り組んでいる。今後2年かけて整備し、島の生活用水の安定供給を図り、観光振興や経済活動の活性化にもつなげる。10日から約3週間取り組む現地での第1弾作業を前に3日、同大で最終ミーティングを行い、工程や役割などを確認した。

 給水システムを整備するのは長崎県五島市の福江島から南約12キロ、船で25分のところにある赤島。面積約0・5平方キロメートルで、13世帯18人が暮らしているという。水道施設や井戸はなく、炊事や洗濯、風呂などの生活用水には雨水を使う。各家庭で雨どいからタンクにためて使うが、雨量に左右されるほか、近年は黄砂や微小粒子状物質「PM2・5」の影響による水質悪化が懸念されている。

 雨水活用の研究に取り組む同大環境情報学部の笠井利浩教授が赤島の現状を知り、昨年秋から何度も現地を訪問。町ぐるみでの給水システム構築の可能性を探り、住民の理解を得て実現に結びつけた。

 赤島の雨水生活や豊かな自然、プロジェクトの進展などをインターネットを通じて発信しようと、デザイン学科の近藤晶講師に協力を要請。本年度から笠井、近藤両研究室の学生ら7人とともに「五島列島赤島活性化プロジェクト」として準備を進めてきた。県内外16の企業が協力、支援している。

 給水システムは、島の中心部にある傾斜地に約50平方メートルの大きな波板を設置して雨水を集める。大気中の汚染物質を含む降り始めの雨(初期雨水)をコンピューター制御式の装置で除去し、大型貯留槽にためた水はさらに浄化。ポンプで各家庭に供給する。貯留槽などに取り付ける水量メーターや水温、水位センサーのデータはネットで確認でき、現地だけでなく福井でも管理する予定。

 最終ミーティングでは、現地の公民館を活動拠点にすることや、波板や配管の設置工程などを確認した。今回以降も学生らが定期的に訪れ、2019年夏の完成を目指す。活動内容はプロジェクトのサイト「しまあめラボ」で発信する。

 笠井教授は「人の暮らしに水は不可欠。水の大切さをアピールするとともに、赤島で雨水を活用したまちづくりの先進事例をつくり、国内外に広げていきたい」と意気込んでいる。