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コンビニ全商品にICタグ、経産省のスマート流通構想阻む 1枚=1円以下の壁

8/4(金) 17:57配信

日刊工業新聞電子版

■RFID、流通革命の切り札なるか

 経済産業省が、流通の新たな形を作ろうとしている。人手不足、過剰な生産・在庫といった諸問題を、IoTをはじめとする新技術により解決を目指す。国が音頭を取ることで、業界各社が協調する次世代システムを生み出す構えだ。技術の導入コストなど、いくつかの壁を乗り越えられるかが焦点となる。

 4月、経産省はセブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンなどコンビニエンスストア大手との共同実証事業を発表した。各社の店舗に共通仕様の無線識別(RFID)タグを導入。商品一つひとつにタグを貼り付けインターネットと組み合わせることで、どこで、どんな商品が流通しているかなどを簡単に管理できるIoTシステムを構築する。

 「現場での人材確保は本当に難しくなっている」―。旗振り役を担う経産省の加藤彰二消費・流通政策課係長は、取り組みの背景に人手不足を挙げる。外国人や高齢人材への依存度は年々高まり、彼らの労働力をもってしても足りていないのが実情だ。少しでも省人化し、この窮地を乗り切るため、業界各社は店舗運営の抜本的見直しを迫られている。

 解決策として経産省が着目したのが、個体情報を非接触で認識できるRFID技術だった。同技術の活用により検品や棚卸しなどを簡略化でき、省人化が可能になる。

 コンビニ各社との共同事業では、2025年までに全商品にタグを取り付け個別管理を実現することを目標に掲げる。

 「サプライチェーンの中でも、さまざまな無駄が生じている」と加藤係長は事業のもう一つの理由を明かす。売り場に商品が充足せず販売機会が失われることを避けるため、過剰生産、過剰発注、過剰在庫が常態化。このためRFID、そしてIoTでサプライチェーンを最適化し、無駄を徹底的に撲滅することが、この取り組みの到達点だ。

 課題は少なくない。特にタグのコストは最大の障壁だ。現状では1個につき10―20円程度だが「1円以下にならないと採算がとれない」(加藤係長)。このため、タグメーカーとも連携し、新材料の適用などによる低コスト化を図っている。

 ハードルは高いが、実現すれば社会課題へのプラス影響は大きい。コンビニ各社も、かつてないほど同業者間連携に意欲的だ。流通業だけでなく、経産省が描く次世代産業像「コネクテッド・インダストリーズ」のモデルケースとしても、成功への期待が高まっている。