ここから本文です

大型よろい恐竜の「生存の苦闘」、最新化石分析

8/4(金) 15:20配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【8月4日 AFP】2011年にカナダの鉱山で格別に保存状態の良い化石が発見されたが、1億1000万年前に生きていたこの恐竜が当時、大きな困難に直面していた証拠が3日、研究論文で発表された。今回の研究でこの恐竜の正式な学名も決定したという。

 表皮とうろこが化石化して残っていたドラゴンのようなこの恐竜は、ノドサウルス科の新種。学名は博物館技師のマーク・ミッチェル(Mark Mitchell)氏にちなんだ「ボレアロペルタ・マークミッチェリ(Borealopelta markmitchelli)」とされた。ミッチェル氏は化石標本の周囲から慎重に岩石を取り除くのに7000時間以上を費やした。5月に初めて一般公開された際にはまだ正式な学名が決まっていなかった。

 米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された論文は、この化石を「よろい竜(曲竜類)の化石としてはこれまでに発見された中で最高の状態を保っており、世界で最も優れた恐竜標本の一つ」と表現している。

 全長5.5メートルに及ぶこの恐竜は2011年、カナダ・アルバータ(Alberta)州にある石油会社サンコール(Suncor)のミレニアム鉱山(Millennium Mine)で働いていた重機オペレーターのショーン・ファンク(Shawn Funk)さんによって最初に発見された。

 完全な個体の推定体重は1300キロ以上だが、回収されているのは体の一部で、口先から腰部までの部分だ。骨やその破片からなる大半の恐竜標本とは異なり、この化石は立体で、体を覆ううろこ状の皮膚が残されている。

■苦闘して生存

 加ロイヤル・ティレル古生物学博物館(Royal Tyrrell Museum of Palaeontology)などの研究チームが化石の皮膚を調査した結果、この草食恐竜は体中が装甲で覆われ、まるで歩く戦車のようだったにもかかわらず、肉食恐竜の多大な脅威に直面していた可能性が高いことが明らかになった。

 それは、ノドサウルスが「カウンターシェーディング」と言われる、外敵の目をくらます術を用いていたからだ。このカモフラージュ術は、現代の動物の多くも使っている。

 研究チームは、この新属新種の恐竜の体色パターンを明らかにするために、うろこに残る有機化合物の化学分析を行った。その結果、表皮は赤褐色の有色素を持ち、全身がカウンターシェーディングになっていたことが分かった。これによって、背の高い肉食恐竜が近づいてきた時に、ノドサウルスは周囲の環境に溶け込みやすかったのではないかと、研究チームは指摘している。

 だが、シカ、シマウマ、アルマジロなど、カウンターシェーディングを使う現代の動物の大半は、捕食動物としてははるかに小型で、攻撃に対して弱い。ということは、このノドサウルスは生存を懸けて本当に苦闘していたことがうかがえる。

 論文の主執筆者で、ロイヤル・ティレル博物館のケイレブ・ブラウン(Caleb Brown)氏は「非常に大型で、重厚な装甲をまとった恐竜に対する強力な捕食圧は、白亜紀の肉食恐竜たちがさぞ危険だったに違いないことを浮き彫りにしている」と述べている。

 研究チームは、この恐竜が最後の食事に何を食べたかを明らかにするために、化石として残る消化管内容物を調べるなど、恐竜の生態に関する手がかりを見つけるための研究を続けている。

 この恐竜の化石は現在、ロイヤル・ティレル博物館内に展示されている。(c)AFPBB News

最終更新:8/4(金) 16:38
AFPBB News