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[特派員コラム]「ホワイトハウスに訊いてほしい」

8/4(金) 7:48配信

ハンギョレ新聞

 バラク・オバマ政権で1年6カ月間、ドナルド・トランプ政権で6カ月間、ワシントン特派員生活をしてみて、2つの政権のあまりにも異なるメディア対応に驚かされた。

 トランプ政権では国務省や国防部に懸案について訊くと、「ホワイトハウスに訊いてほしい」と言われることが多い。オバマ政権ではそう言われた記憶がない。ところが、トランプ政権が発足してからは、同じ省庁の同じ担当者からも違う答えを聞くようになった。

 マスコミへの対応は国家の組織的な能力を見極める重要な物差しになる。韓国でも米国でも、政府内部での議論を経て「プレス・ガイダンス」(PG・Press Guidance)というマスコミ対応指針が作成されている。マスコミの問い合わせに全ての省庁で調整された声を出さなければならないため、模範解答を作成しておくのだ。

 「ホワイトハウスに訊いてほしい」という答えは多くを示唆する。一線の省庁にあまり権限がなく、ホワイトハウスの顔色ばかり伺っているということだ。積極的なマスコミ対応に乗り出さないというのは、政府の組織的なチームプレーが行われていないことを意味する。そのため、ホワイトハウスと一線の省庁の立場がしばしば食い違う場合もある。

 韓国政府の先月17日の対北朝鮮軍事当局会談と赤十字会談の提案について、国務省とホワイトハウスの反応は似たようで違っていた。国務省は「韓国政府に問い合わせてほしい」と答えた。韓国政府との調整から出た中立的な表現だった。一方、ホワイトハウスは「トランプ大統領は対話する条件が整っていないと言ったことがある」として、ややご機嫌斜めな評価を加えた。

 これだけではない。レックス・ティラーソン国務長官が1日、記者会見を通じて「ある時点に」北朝鮮と対話をしたいとし、雰囲気を盛り上げたが、ホワイトハウスのブリーフィングでは、北朝鮮について「すべてのオプションについて開かれている」として、ここ数カ月間と同じ「PG」だけを繰り返した。マイク・ポンペイ中央情報局首長からは北朝鮮の政権交代論などにも捉えられる発言まで飛び出した。こうなれば、支離滅裂というほかない。

 自分たちが最優先政策と強調する対北朝鮮政策でさえまとまった声を出せないなら、政府の機能が止まったも同然だ。国務省など一線の省庁とホワイトハウスが“それぞれ自分勝手に動いている”という評価は、かなり前からワシントンの外交界に広まっていた。ワシントンのある専門家は「米国がシステムで動くというのは、トランプ政権では通用しない」と指摘した。

 システムの崩壊はトランプの「兎食狗烹」の用人術に起因するところが大きい。トランプが今年2月、三顧の礼に仕えて迎え入れたハーバート・マクマスター国家安保補佐官は、すでにトランプの信任を失ったという評価が広まっている。上級者に苦言も辞さない竹を割ったような性格の軍人と言われていたのに、大したことはないと皮肉る人もいる。エクソン・モービルの最高経営者だったティラーソン長官は最近、更迭説が出回っており、軍人の中の軍人といわれていたジェームズ・マティス国防長官は、懸案に対する言及を控えたまま第1線から離れている。彼らの華やかな経験はトランプのツイッターに押さえつけられている。

 韓国でいかなる政権が発足したとしても、トランプ政権の乱脈ぶりの前では悩みが尽きなかっただろう。それでも文在寅(ムン・ジェイン)政権はもう少し力量を発揮する姿を見せてほしい。オバマ政権のように国務省やホワイトハウスの実務者らと調整するだけでは足りない。内容によって大統領から実務者まで、トランプ政権に対する「オールコートプレス」をかけなければならない。

 北朝鮮への軍事攻撃もあり得るというトランプの予測不可能性を警戒はしなければならないが、このような懸念のあまり、トランプ・フォービア(恐怖)」に陥っては、半歩も前進できないだろう。いや、守勢的な態度では朝鮮半島の緊張状況を管理することすらできないかもしれない。「ワシントン発の朝鮮半島危機説」を熱心に拡散しながら、恐怖感を煽っている保守陣営の狙いも、まさにそのような罠に閉じ込めて置くためかもしれない。「老練な剛気」が必要な時だ。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)