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<小池知事>築地再開発案、当初から 側近「職員信用せず」

8/5(土) 7:30配信

毎日新聞

 「(豊洲移転・築地再開発)の基本方針の原案は、庁内の検討がまとまる前からあった」。東京都の市場移転問題を巡って、小池百合子知事が庁内にオープンな議論の場を作る傍ら、都顧問ら外部有識者と検討を重ねていたことを側近らが証言した。全国の注目を集めた市場移転に関する基本方針は、都民に見えない形で決められていた。

 市場移転について、小池知事は当初、豊洲市場(江東区)の汚染問題などを検討する二つの有識者会議の議論を踏まえて方針を決定するとしていた。だが、市場の事業継続性を課題に挙げ、今年3月下旬に「新たな外部有識者会議を」と都幹部らに指示した。

 これに対し、顧問も都幹部も「庁内の検討体制も整えた方がいい」などと進言したため、副知事を本部長とする「市場のあり方戦略本部」を設置。その上で戦略本部を「有識者の議論を集約し、知事の判断の材料を整える機関」と位置づけた。

 戦略本部は報道陣にほぼ公開され、議論はオープンな形で進んでいるかのように見えた。だが、小池知事は戦略本部とは別に、記録に残さない形で外部有識者らと協議を続けた。

 「築地を何とか残せないの?」。戦略本部で築地再整備の課題が議論される中、小池知事は周辺に漏らした。「築地ブランド」にこだわる姿勢に、顧問らは豊洲移転・築地再開発の検討を進めた。戦略本部が「豊洲移転・築地売却」と「豊洲移転・築地貸し付け」の案をまとめる6月15日より前の段階だった。

 その後も協議は続き、最終的に複数の顧問らが準備した豊洲移転・築地再開発の資料に小池知事が筆を入れ、6月20日の緊急記者会見で発表した。方針の内容が都幹部に初めて伝わったのは、会見の約1時間前。「豊洲へは仮移転」と打ち出す意向を知った都幹部は「中央卸売市場は豊洲ですよね」と進言するのがやっとだったという。移転しなければ国からの補助金などを返還しなければならないからだ。

 戦略本部を作りながら最終案を検討させなかった理由を、側近の一人は「知事は、職員が(市場の将来像などを広い視野で考える)鳥の目を持っていないと問題視していた」と説明。「全ての分野で職員を遠ざけているわけではないが、都議会自民党などと共に『豊洲ありき』で進めてきた市場移転については職員を信用できなかった」という証言もある。

 顧問らとの協議の記録は、残されていない。会見直前の都幹部の進言の記録もなく、都民は巨額な都税が投入される可能性がある事業の決定過程を知ることはできない。それでも別の側近は言った。「知事はいろいろな人の話を聞いて判断している。そういう政治判断は情報公開の対象ではない」【林田七恵、森健太郎】

 ◇記録残すべきだ

 情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長の話 知事は豊洲市場で盛り土をしないと決めた過程の記録がないことを批判してきたが、今回はそれと同じ構図だ。記録がなければ、なぜ二つの市場を作ると判断し、どの程度の収益を見込んだのかなど、都民の資産の使い方を決めた根拠が分からない。「加計学園問題」で政治判断に基づく決定過程の不透明さが指摘されているように、選挙を経た知事の政治判断であれば一層、記録を残し、情報公開すべきだ。

最終更新:8/5(土) 7:30
毎日新聞