ここから本文です

多田修平がボルトに一時先行 「うれしさ大きかった」 特殊な走り武器に3年後照準

8/5(土) 11:52配信

産経新聞

 【ロンドン=坂井朝彦】隣を走る「伝説の男」を一時、置き去りにした。注目の男子100メートル。予選6組で世界記録保持者のボルトと同組となった多田修平(関学大)は10秒19の4着、全体17位で準決勝に進んだ。40メートル付近まで先頭を駆け、最後はかわされたが、「前半は1位で行けて良かった」と振り返った。

 第6レーンの多田の右隣は、今大会で現役を退くスーパースターのボルトで、「うれしさが一番大きかった」。スタート直後の加速が決まり、ただ一人抜け出した。大きな歩幅のボルトが追いかけ、ひとにらみする場面もあった。

 身長196センチ、体重94キロのボルトに対し、多田は176センチ、66キロ。長距離選手のような細身で華奢な体形は「欠点」と自覚する部分でもある。将来的に肉体改造していく計画だが、今回は「まだ、できていない体」で世界と渡り合った。

 自分にしかできない走り-その秘訣を「僕の走り方は特殊。あまり力を使わず、バネを使う」と説明する。地面からの反発力を最大限に利用する走法で、比較的狭い歩幅で脚の回転を速くする「ピッチ」に絶対の自信を持つ。

 号砲が鳴り、細身の体がグイッと前に出ると、低い前傾姿勢を保つ。中盤に向けて体を起こし、トップスピードへ。所属する関学大の林直也コーチは「(地面から得る)反発がかなり強い。あっという間に膝が高いところまでくる」と解説。このため、急速にピッチが上がり、素早く前へと進むことができる。

 大阪桐蔭高時代から高さの低い「ミニハードル」を使った練習で、脚をきれいに降ろす意識を磨いてきた。林コーチによると、「最初は(ハードルを)またいでいるだけだったが、脚を振り下ろすと、(地面からの反発力で)ぽーんと跳ね返ってくるような感じになった」という。

 約2カ月前までは「関西の有望株」の位置付けだったが、今や「日本が誇る1人」。3年後の東京五輪での決勝進出を目指し、「上半身(の筋力)がまだまだ足りていない。(体を)前傾にして、後半でも蹴る力をつけたい」と修正点を挙げる。

 その道半ばに位置する今回の世界選手権。目標は予選突破だったが、あっさりとクリアした。「かなり力んだが、そこを直せばベストの走りができると思う」。歩みを止めない21歳のスプリンターは、次なる高みを見据えた。

最終更新:8/5(土) 11:52
産経新聞