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銀座7000万円強奪で逮捕の千葉県立高2年生は「報酬なし」? 大人に利用された「バイト」の罠

8/5(土) 16:00配信

産経新聞

 東京・銀座で今年4月、金塊取引直後の男性が襲われ、現金約7千万円の入ったバッグが奪われた事件が動いた。7月31日、警視庁は事件に関与したとして、強盗容疑で10~20代の男3人を逮捕。うち1人は高校2年の16歳の少年だったため、世間に衝撃を与えている。「カネになるバイトがある」。少年が犯行に加わるきっかけとなったのは、「知り合いの知り合い」の男からかかってきた1本の電話だった-。(社会部 緒方優子、安里洋輔)

■カメラに少年

 事件は4月21日午後1時半ごろ、観光客らでにぎわう東京都中央区銀座の「すずらん通り」で起きた。

 被害者の男性(45)は近くの貴金属店で約15キロの金塊を換金し、現金約7千万円の入ったバッグを持って歩き出したところを、後ろから何者かに突然体当たりされた。男性は転倒し、近づいてきた別の男がバッグを強奪。もみ合いになり、小分けにされていた札束のいくつかが落ちたが、男は約4千万円が残ったバッグを持ち去り、もう1人の男が運転するバイクの後ろに乗って逃走した。

 警視庁のその後の捜査で、防犯カメラの映像などから事件に関わったとみられる3人が浮上。バイクで現金を持ち去ったのは、主犯とみられる元暴走族の20代の男2人。そして、男性に体当たりしたのは、千葉県の県立高校に通う16歳の少年だった。

■校外学習中に犯行

 捜査関係者によると、少年は当日、高校の校外学習で東京・浅草を訪れており、自由時間を利用して犯行に加わったという。その足取りは、次の通りだ。

 男子生徒は浅草で同級生らと別れると、1人で銀座へ移動。街頭の防犯カメラには、同級生らに手を振って別れる様子が映っていたという。犯行後はビルの影で着替えてタクシーで浅草に戻り、同級生と合流。その後も何食わぬ顔でスカイツリー見学などを楽しんでいたとみられる。

 少年は調べに対し、「元暴走族の男からかかってきた番号非通知の電話で“バイト”の誘いを受けた」と説明。犯行後、2人とは連絡が取れなくなったといい、報酬などは受け取っていなかった。

 犯行グループが3月に犯行現場を下見していたことも判明し、警視庁は巨額金塊取引の情報が事前に漏洩(ろうえい)していた疑いもあるとみて捜査を進めている。

■SNS通じ勧誘も

 振り込め詐欺の受け子など、未成年がこうしたバイト感覚で犯罪に手を染めるケースは近年、後を絶たない。背景には、無料通信アプリ「LINE」や会員制交流サイト「フェイスブック」などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及による交際範囲の拡大がある。

 これらのSNSには、電話番号などから間接的につながりのある相手を自動検索する機能が備わっている。捜査関係者によると、暴力団関係者や暴走族OBをはじめとする、いわゆる「半グレ」ら反社会的勢力が、こうした機能を通じて、直接面識のない者を犯罪に引き込むケースもあるという。

 実際、SNS上でつながった者同士が、密輸や強盗など金塊に絡む事件で連携するケースも目立つ。昨年7月、福岡市で警察官を装った男らが約7億5800万円相当の金塊約160キロを強奪した事件でも、男らがフェイスブック上でつながっていたことが確認されている。

 ある暴力団関係者は「複数犯では互いの関係性が薄いほどアシが付くリスクは軽減する。『知り合いの知り合い』ぐらいの関係がちょうどいい」と説明した。

 人と人とをつなげるためのSNSが、犯罪者も結びつけてしまう皮肉…。こうした実情は、若者らによる犯罪の“イマ”を映し出しているともいえそうだ。

最終更新:8/5(土) 16:00
産経新聞