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救急病棟を走り回る、元気なあざだらけの少女ジル

8/5(土) 11:30配信

ホウドウキョク

DVと児童虐待の相関性

およそ1年前の夏のとある日、ジル(4歳女児・仮名)は母方のおばさんに連れられて小児救急病棟にやってきた。

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病院着に着替えたジルの両腕、両足、顔には無数のあざとすり傷があった。その痛々しい姿はスタッフ一同が一瞬、息を呑むほどだった。

それでもジルは元気に病室をかけ回り、医療器具を興味深げに触ったりしている。こんな時、子供の驚異的なresiliency(跳ね返す力)にはいつも驚かされると同時にわずかな希望も与えられる。

おばさんによると、ジルのお母さんのボーイフレンド(実の父親ではない)によってジルが日頃から暴力を受け、結果、体中があざだらけなのだという。

ジルだけではなく、お母さんもそのボーイフレンドによって日常的な暴行を受け、怪我が絶えないのだという。いわゆるDomestic Violence(DV)。

しかし、おばさんによると、ジルのお母さんは完全なDenial (受け入れがたい状況を認めようとしない防御反応)の状態にいるため、自身への暴力はおろか、我が子への身体的な虐待も認めようとしていないのだという。

実の母親がジルの虐待の事実を認めない…

アメリカにおいてDVは深刻な社会問題、公衆衛生問題として扱われている。およそ20分に1人がDVの被害を受け、女性の3人に1人、男性の4人に1人が人生で一度はDVの経験があるという統計もある。

また、DVがある家庭で生活する子供は、虐待を受けるリスクが高いとされている。ジルの家族はまさにこのパターンにぴったりとハマっている。

そもそもなぜおばさんがジルを小児救急へ連れてくるに至ったのか。

きっかけはおばさんのいとこが、たまたま前の週に遊びに行った際、ボーイフレンドによる暴力を目撃したことだった。いとこは、その場では何も手出しができなかったものの、お母さんとジル、2歳の双子の兄弟(ボーイフレンドの実子)の安否を心配しておばさんに報告。深刻に感じたおばさんはすぐに警察に連絡し、警察官同伴でジルの家を訪れたのだ。

そこで、ジルの身体中のあざが確認され、ボーイフレンドは即逮捕された。お母さんはすぐにジルを病院へ連れていくよう命じられたのだが、この期に及んで、「転んだだけよ」、「どこかにぶつけたんでしょう」と虐待の事実を断固として認めず、「他の子供の面倒があるから」と言って、病院へ行くことを拒否したという。その結果、おばさんが連れてくるに至ったのだ。

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最終更新:8/5(土) 11:30
ホウドウキョク