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「わからない」も立派な正解。しつもんメンタルトレーニング前編

8/5(土) 11:50配信

VICTORY

30年ぶりに連勝記録を更新した将棋界の新鋭、14歳の藤井聡太四段の快進撃は日本中を沸かせた。スポーツの世界でも卓球の張本智和(13歳)、平野美宇(17歳)をはじめ、10代選手の活躍が報じられている。若い選手に希望を託すのはどの世界も同じだが、彼らのような天才少年・少女が登場する度に話題になるのが、彼らはいかにして育ったのか?という疑問だ。(文=大塚一樹)

モンテッソーリ教育にシュタイナー教育? 天才の育て方はあるのか?

2016年12月のプロデビュー以来、積み上げた勝利は29。30年ぶりに連勝記録を更新した話題の天才は、14歳の中学生だった。
ふとした表情にまだあどけなさが残る藤井聡太四段の活躍は、将棋界のみならず世間から大きな注目を集めた。その理由のひとつに、同じ年頃の息子、娘を持つ母親、父親の関心の高さがある。
「どうしたらあんな子どもが育つんだろう?」
「天才ってどうやって育てるんだろう?」
単純な興味としてだけでなく、自らの子育てのヒントはないものかとテレビに目をやる大人たち。藤井四段の強さの秘密に、出身幼稚園が取り入れていた「モンテッソーリ教育」を挙げるメディアまで現れた。
モテッソーリ教育は、イタリアの女性医学博士、マリア・モンテッソーリが提唱、実践した教育法で、アメリカ・Microsoft社の創業者、ビル・ゲイツが学んだ教育としてその名を知られている。近年は、日本でも子どもの自発的な行動や感性を高める教育法として注目されている。

スポーツの育成現場を取材していると、その競技の技術を身につけるためのトレーニングの他に、子どもたちの自主性、自発性を高めることの重要性に関心が高まっていることを実感する。藤井四段が学んだモンテッソーリ教育や、自由教育の象徴であるシュタイナー教育など、教育法に関わるワードがグラウンドや体育館で飛び交うことも珍しくない。

優れた選手は優れた思考を持っている。自発的、能動的に努力する選手は、強制的、受動的に取り組む選手よりすべてにおいて成長する可能性が高い。
簡単に言えば、「やらされている」選手より「自分から楽しんで」あるいは「楽しさを見つけて」プレーする選手の方が伸びる可能性が高いというわけだ。

この連載では「スポーツの天才の育て方」について語るつもりはあまりない。というのも、多くのお父さん、お母さんがすでにお気づきのように、どんな競技でもすべての子どもたち、すべての選手がプロ選手やオリンピック選手にうなれるわけではないからだ。
「自分の子がプロ野球選手、プロサッカー選手、金メダリストになれるのか?」
そんな風に疑って子どもから夢を奪うドリームキラーになるのは論外だが、「絶対にプロ選手になれ」と強制して子どもたちから自由意志を奪う親もまた、「毒親」と言える。

では、どうすればいいのか?
子ども一人ひとりに個性があり、家庭には家庭の事情や背景がある以上「絶対的な正解」はあり得ないが、スポーツの育成現場の取材や出会いの中で見てきたことがいくつかある。

「天才の育て方」はわからないし、わかれば天才を量産する側に回っているが、どうやら天才は「育つ」ものらしい。このコラムでは、ああしたほうがいい、こうした方がいいという詰め込みではなく、おおらかに子どもたちを見守るための方法をいくつか紹介していこうと思う。

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最終更新:8/5(土) 11:50
VICTORY