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「水着」の大きさと「景気」の、意外な関係とは?

8/5(土) 12:04配信

TOKYO FM+

毎年のように新しいデザインが生まれ、さまざまな流行を生み出している「水着」。特に女性は、毎年の水着選びに悩むという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は夏まっさかり!ということで、今年の流行の水着や最先端の水着の機能などを、TOKYO FMの番組の中で詳しい方々に教えていただきました!

◆「モグラ女子の今年の水着指南!」
~モデル 久松郁実さん

── 最近、お仕事ではどんな水着を?

グラビアの水着は男性の目線を考えて、シンプルだったり柄がなかったりするものが多いですね。ファッション誌だとヒラヒラが付いていたり形がちょっと変わっていたり、細かいところもお洒落になっています。男性誌だと三角ビキニも多いんですが、今ってファッションの水着で三角ビキニってなかなかないですよね。

グラビアの水着はスタイリストさんと編集の方がイメージを考えて選びます。たとえば『ヤングマガジン』なら明るく元気に、海で力いっぱいはしゃいでいるようなイメージ。大人向けの週刊誌ならちょっとしっとりめにしたいので「あまり笑わないで」と言われたり。そこはイメージに合わせてスイッチを切り替えながら撮影しています。

── 水着の仕事を始めたのはいつ頃ですか?

高校3年生のときに「三愛水着イメージガール」に選ばれたのが最初で、初めて水着で人前に立ってショーをしたり、おすすめの水着をお伝えしたりしました。そんなファッションの仕事をしつつグラビアもという感じだったので、あまり恥ずかしさはなかったんです。最近は「モグラ女子」なんて言い方もありますが、当時はモデルとグラビアの仕事を両方している人は、まだまだめずらしかったですね。

── ファッションの水着はグラビアとは違うんですか?

ファッションの水着は洋服っぽいですね。たとえばパンツの大きい水着が典型です。下が長いのではなく、上が長いハイウエストになっていて、お腹まわりまで隠れます。あと、いま流行っているのはお花みたいにヒラヒラが付いたビキニ。それから今年はクロシェ編みの水着ですね。ちょっとボヘミアンテイストな素材の水着がめちゃくちゃ流行っています。基本的に色の白い人はパステルカラーの水着がすごく似合いますし、逆に日焼けをしている人はビビッドなオレンジやピンクが似合うと思います。

そんな水着を着る場所として人気なのがナイトプールです。『CanCam』プロデュースのナイトプールには巨大な白鳥の形をした浮き輪などもあるので、インスタ映えして女の子はすごく楽しめると思います。水着慣れしていなくて恥ずかしいときも、夜なら暗いのであまり気になりません。写真を撮るなら自撮り棒を使うのではなく、両手が空いている「友達に撮ってもらった風」がお洒落です。しかも今はBluetoothでスマホのカメラを操作できる便利なグッズも出ています(笑)。


◆「水着の大きさと景気の意外な関係」
~株式会社Ai 水着事業部 丸田隆司さん

── 日本で水着が普及したのはいつ頃から?

日本初の海水浴場は神奈川の大磯で、もともとは療養のためのものでした。当時、海水は体に良いとされ、病を持つ人が夏になると海水に浸かっていたんです。そのための浴衣が日本で最初の水着でした。滝行の人が着る白い浴衣のような服を着て海に入っている人の写真が残っています。

三愛が水着を販売し始めたのは1955年(昭和30年)です。最初の水着は腰回りを隠すためにミニスカートのような形をしていました。セパレーツの水着が出たのは1962年(昭和37年)。その2年後に東京五輪が開催されますが、日本の景気が非常に良くなっていった時代に、女性が肌を出すことに抵抗を感じなくなって欧米化したのがこの頃だったと思います。

── それから水着の布地はずっと小さくなってきたんですか?

これがけっこう揺り戻しもあって、実は今がちょうどそんな時期です。最近は徐々に布の分量が多くなって、肌を露出する部分が少なくなっています。それと同時に足ぐりが上がって、バブル期のハイレグに近づいています。

私は水着の仕事をするようになって30年以上ですが、景気と水着の生地の面積は非常に連動しているという印象を受けます。こう言うと「景気が良くなると露出が増える」と思われがちなんですが、実は逆で、景気が悪いときはビキニが流行るんです。1970年代後半に活躍したアグネス・ラムさんも三角ビキニがトレードマークでしたから。そして80年代、バブル景気になると一気にワンピースが流行ります。

── たしかに「景気が良いとワンピース」というのは意外です。

バブル崩壊後の92年頃になると、再び水着はビキニになっていきます。こんなふうに景気が良くなると水着の布が大きくなり、景気が悪くなると小さくなるんです。これは布が大きかったりワンピースにしたりすると水着の価格が上がるのと無関係ではないかもしれません。

実はこの2年くらい「モノキニ」というタイプの水着がけっこう出るようになりました。これは前から見るとワンピース、後ろから見るとビキニという水着です。ビキニからモノキニになりつつあるということは、景気が良くなってきた証なのかもしれません。


◆「伝説の高速水着はなぜ速かったのか」
~日本文理大学 特任教授 北岡哲子さん

── 競泳用の水着にはどんな工夫が?

競泳用水着で特に重要な機能は泳ぐ姿勢を保持することです。速く泳ぐためには前に進む力と姿勢を保持する力が必要で、推進力は選手の力次第。でも姿勢を保持するのは水着によってカバーできます。そういう水着が速く泳げると言われています。

一番有名なのは高速水着と呼ばれた「レーザー・レーサー」ですね。北京五輪のとき、競泳で金メダルを獲った人の94%がこの水着を着ていたほどでした。ただしレーザー・レーサーは速くなった人もいましたが、変わらない人もいました。当時はその理由がわからなくて不思議がられていたのですが、その後の分析によって「もともと体幹が強い選手はメリットがあまりない」ということがわかっています。

── どうしてレーザー・レーサーはそんなに速かったんですか?

新幹線はどんどん形が変わっていますが、近年は鳥のクチバシのような形をしているのをご覧になったことはないでしょうか。ああいう流線型が一番抵抗が少ないんです。逆にデコボコしていると水の抵抗を強く受けてしまいます。だからその流線型にムリヤリ体を押し込めるという発想で作られたのがレーザー・レーサーでした。

抵抗の少ない形に作られた水着に体を押し込めるため、レーザー・レーサーは脱着に2時間も掛かっていました。最後のほうは女子選手が水着を切って脱ぐようなこともあったようです。撥水性の高い紙のような素材を使って水を含まないようにしているため、伸縮性はほとんどありません。そんな「型」に選手の体をはめ込むのがレーザー・レーサーでした。

── それって選手は動きづらくないんですか?

選手の体を3Dスキャンして作るので大丈夫なんです。体の凹凸をできるだけ抑える形にしながら、カッティングやパタンナーでしっかり調整して腕や足の動きを妨げることがないようにします。こうやって作られたレーザー・レーサーは「サーフボードに乗って泳いでいるかのよう」とまで形容されました。

しかしレーザー・レーサーは7~8万円と高価だったため、経済的な事情で不利になってしまう選手もいました。さらに体幹のしっかりした選手も効果が薄いので相対的に不利になってしまいます。それで現在はレーザー・レーサーのような全身を覆うタイプの水着は禁止されました。ルール変更後は水着によって有利不利ということは特になく、各選手が自分に合った水着を選んでいるようです。

(TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」2017年7月29日放送より)

最終更新:8/5(土) 12:04
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