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「大トヨタ」によって、マツダが大切に守ってきた軸はブレないか

8/5(土) 14:53配信

ニュースイッチ

シナジーを生む半面、企業文化を変えてしまうリスクも

 資本提携を発表したトヨタ自動車とマツダ。米国で2021年をめどに完成車の合弁工場を稼働させるほか、電気自動車(EV)の共同技術開発やコネクテッドカー(つながる車)での協業に取り組む。トヨタの豊田章男社長は「今日が将来に向けた一里塚だと思う」と強調。マツダの小飼雅道社長は「中長期的で継続的な提携に持っていく必要があると感じた」と話す。

 マツダからの視点で今回の資本提携を考えてみたい。まずはEVの共同開発。両社による混成チームを結成して両社の開発を融合する。車体のハード部分とソフトウェアの両面でプラットフォームの共同開発を進める。

 マツダはこれまで広島と山口に小型車『デミオ』をベースにした『デミオEV』を公用車として100台提供し、走行データを蓄積している。加速性能に優れたモーターやロータリーエンジンを発電機として利用するなどユニークな技術を組み合わせ、マツダならではのEVを目指していた。

 以前から小飼社長は「独自でEVの開発を進めていく。ただ技術開発で協調できる部分があればトヨタと一緒にやっていきたい」としていた。世界的な環境規制強化によるEVシフトが加速する中で、規模のメリット追求が欠かせないと判断したのだろう。

 今回の一番の目玉である米国の共同工場。フォードと提携解消後、マツダにとって米国の生産体制は課題だっただけに、トヨタの「カイゼン」とマツダの「モノ造り革新」がうまく共有できればよいシナジーを生むだろう。

 ただ車台の共通化や共同工場は一部であっても、マツダ規模の自動車メーカーにとっては、企業文化を変えてしまうリスクもある。

 自動車ジャーナリストの第一人者、フェルディナント・ヤマグチ氏の著書『仕事がうまくいく7つの鉄則』でマツダが成功要因が指摘されている。

(1)「小さいことを恥じない」
(2)「ライバルすらも褒めまくる」
(3)「ブレない価値の基準を持つ」
(4)「相手が喜ぶことを常に優先する」
(5)「ほかの真似を決してしない」
(6)「熱意だけではダメ。交換条件を必ず用意する」
(7)「世の中の流れに簡単に乗らない」。

 今後数年間は、まさに足場固めの時期でもある。次世代のスカイアクティブはより技術難易度が高くコストの壁もある。ただ、マツダの場合、自らの「軸」や方向性が「独りよがり」にならないように、既存の顧客を言わば“モニター”のように捉えている。

 同社の価値観と方向性に共感しているであろう既存の顧客が満足することを基準にして開発・生産を進め、市場に投入して反応を見る。そしてその結果を前提としてさらなる開発や改善を行う。そうすれば、軸をブラさないまま少しずつ新しい挑戦をしていくことができる。

 この軸をブラさずトヨタとより踏みこんだ提携の果実を得ることは、簡単なことではない。

最終更新:8/5(土) 14:53
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