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登戸研究所の実態を報告 川崎、法政二中・高で歴教協全国大会

8/5(土) 10:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

 社会科教諭や研究者らでつくる「歴史教育者協議会」の全国大会が4日、川崎市中原区の法政大学第二中・高校で始まった。初日は同校の生徒や教員、市民らが続けてきた「陸軍登戸研究所」(同市多摩区)の調査内容を劇仕立てで報告。元勤務員らの証言などから解き明かされた研究所の実態を紹介した。

 「勤めていた親戚に誘われ、試験を受けた。軍事のことをやっているとは聞いていたが、役所のようなものだと思っていた」

 旧日本軍が戦時中に細菌兵器や偽札、風船爆弾などを秘密裏に開発した研究所で、15歳の時に働いていた女性役が振り返る。着替え中には米軍機の攻撃を受け、慌てて机の下に潜った。同年代の少年は実験中にフッ化水素を吸い込み、数分後に亡くなった。「皮膚がただれ、ハチの巣のようだったらしい」

 同校社会科学・歴史研究部の生徒らが今年5月、元勤務員の男性から聞き取った様子も再現。戦後72年間も口を閉ざしていた男性役が、偽札作りの過程を語る。「パルプやリネンなど原料の配合を工夫し、紙を作った。本物に近づけるため、兵隊が使った靴下のボロも配合した」

 平和教育に関わってきた元市職員らも出演し、約30年前の現地見学会の様子を紹介した。動物を殺して実験していたことから建てられたとみられる「動物慰霊碑」や、研究中の事故で犠牲になった勤務員の慰霊祭が行われた神社などを写真と共に説明した。同校の生徒らが調査を始めた経緯や、研究所の保存を求めた市民運動の流れも振り返った。

 出演した同高1年の生徒(16)は「元勤務員はみんな、『もっと勉強したかった』と言っていた。学べることに感謝し、研究所のことを広く伝えていきたい」と話した。

 5日午後5時20分からは「地域に学ぶ集い」として、横浜中華街やヘイトスピーチ、米軍基地など県内を中心としたテーマごとに13の講座を同時開催する。参加費千円。6日午後1時半からの閉会集会では、横浜大空襲を取り上げた朗読劇など、中・高・大学生らによる戦争をテーマにした研究発表が行われる。参加無料。両日とも会場は同校。問い合わせは、大会実行委員長・吉池俊子さん電話080(4536)3505。