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<広島原爆の日>「核兵器なき世界」政府は橋渡しを

8/6(日) 19:15配信

毎日新聞

 広島は6日、米軍による原爆投下から72回目の「原爆の日」を迎えた。広島市の松井一実市長は平和記念公園(同市中区)であった平和記念式典の平和宣言で、7月に国連で採択された核兵器禁止条約に触れ、「核兵器なき世界」の実現へ各国が取り組みを前進させるよう訴えた。その上で、条約締結に向けて核保有国と非核保有国の橋渡しをするよう日本政府に求めた。一方、安倍晋三首相は双方に働きかけるとしたが、日本が批准しない核禁止条約には言及しなかった。【竹下理子】

 午前8時から始まった式典には被爆者や遺族ら約5万人が集まり、海外からは過去3番目に多い80カ国の駐日大使らと欧州連合(EU)代表部が出席。核保有5大国では今年1月にトランプ大統領が就任した米と英仏露が参加した。中国の出席は2008年の1度で途絶えている。

 参列者は原爆が投下された午前8時15分に合わせて1分間黙とう。松井市長は平和宣言で、「絶対悪」の核兵器が72年前にもたらした被害を描写して「決して過去のものではない」とし、「使用をほのめかす為政者がいる限り、むごたらしい目に遭うのはあなたかもしれない」と強調。核抑止の考え方を否定した。

 核禁止条約採択については「核兵器廃絶に向かう明確な決意が示された」と評価し、平和主義を体現して各国に条約締結を促すよう、憲法前文を引用しながら日本政府に要求した。ただ、日本政府が条約を批准しないことについては、直接的な批判を避けた。

 安倍首相はあいさつで「真に『核兵器のない世界』を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要」で、「非核三原則」を堅持し双方に働きかけるとした。だが、核禁止条約には言及せず、核拡散防止条約(NPT)発効50周年となる20年の再検討会議に貢献する考えを示すにとどまった。第1次政権時で取り上げた「憲法順守」は5年連続で触れなかった。

 松井市長と遺族代表の2人は、この1年に死亡が確認された被爆者ら5530人の名前を記した原爆死没者名簿を原爆慰霊碑の下の奉安箱に納めた。名簿計113冊に記載された人数は30万8725人となった。核兵器廃絶運動の中心を担ってきた被爆者の平均年齢は81歳を超え、次世代への継承や行動の継続が問われている。

 こども代表の広島市立大芝小6年の竹舛直柔(たけます・なおなり)さん(11)と、同市立中筋小6年の福永希実(のぞみ)さん(11)は「広島の子どもの私たちが勇気を出し、心と心をつなぐ架け橋を築いていく」とする平和への誓いを読み上げた。

最終更新:8/7(月) 2:04
毎日新聞