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ワークスでも驚くほどコンパクト。トヨタWR”ファミリーのような”ファクトリー訪問

8/6(日) 9:50配信

motorsport.com 日本版

 WRC(世界ラリー選手権)第2戦ラリー・スウェーデンでエースのヤリ-マティ・ラトバラがシーズン初優勝を獲得するほか、第9戦のラリー・フィンランドではエサペッカ・ラッピが自身初優勝を獲得するなど、18年ぶりの復帰参戦にもかかわらず、WRCで活躍するトヨタのワークスチーム、TOYOTA GAZOO RACING。

【写真】ラリー・フィンランドを勝ったエサペッカ・ラッピとヤンネ・フェルム

 その活動を担っているのが、フィンランドに拠点を置くトミ・マキネン・レーシング(TMR)だ。ラリー・フィンランドの翌日、筆者はトヨタのWRC活動の総本山として、2016年に新設されたTMRのファクトリーを訪問した。

 トミ・マキネンが率いるTMRの拠点は、ラリー・フィンランドのホストタウンとなるユバスキュラで、現在は120名のスタッフが在籍。フィンランド人、日本人はもちろん、ドイツ人やイギリス人、フランス人など様々な国籍のスタッフが勤務するワールドカンパニーだ。

 未だ外装は工事中という新オフィスは二階建てで、1Fにはマーケティング部門やファイナンス部門をおいている。2Fはデザイナールームやエンジニアルームなどテクニカルなセクションが設置されていた。

 地下には「ラリー・モンテカルロ」や「ラリー・スウェーデン」などのイベント名をつけた会議室。さらに2Fのテクニカル部門などは機密の関係で入室制限があるものの、壁がなく、スタッフが自由に行き来できるなど、アットホームな雰囲気のオフィスだといえるだろう。

 ここまではレーシングカンパニーでも良くありがちなスタイルだが、筆者が最も驚いたのは続いて案内されたファクトリー部門だった。

 ファクトリーはボディにロールゲージを組み込むガレージのほか、組み上がったボディにエンジンや足回りを装着するガレージ、イベント終了後に全てのパーツを取り外すためのガレージなど、セクションごとに建屋が用意されているが、かつてスバルのWRC活動を担ってきたプロドライブやフォードの活動を担うMスポーツなど、イギリスのレーシングコンストラクターと比べると小規模といってもいい。

 エンジンの開発、空力の開発をドイツのTMGが担っていることから、TMRにはエンジンベンチ室やエアトンネルが不要……ということも影響しているが、世界選手権を戦うワークスチームのファクトリーとしては極めてコンパクトなパッケージといえるだろう。

 もちろん、コンパクトとはいえ、わずか4週間で1台のヤリスWRCを作り上げることが可能となっているだけに、テクニシャンたちのパフォーマンスは高い。

 ちなみにイベントの前後やテストなど必要に応じてTMGのスタッフがTMRに派遣されるなど、連携もスムーズだ。

 また良質なテストステージが敷地内にあることも同ファクトリーのポイントで、クルマのセットアップを行い、その場所で動作確認をできることもTMRの特長といっていい。しかも、ステージではフィンランド特有の高速グラベルが用意されていた。このことからも2017年のラリー・フィンランドでトヨタが見せた圧倒的な強さの理由が伺える。

 ラリー・フィンランドのスタート直前のインタビューの際に、理想のチーム体制について、マキネン代表は「ファミリーのようなチーム」と語っていたが、まさにTMRはスタッフ全員が大きな屋根の下、ひとつの目標に向かって与えられた仕事をこなしていく、ファミリーのようなファクトリーとなっている。

廣本泉