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九州北部豪雨1カ月 田畑に土砂 今も厚く 水稲 分けつ進まず 福岡県朝倉市

8/6(日) 7:01配信

日本農業新聞

 7月の九州北部豪雨で田畑にたまった土砂が、1カ月たった今も農家を苦しめている。水田では稲の株を圧迫し、分けつを妨害。柿やブドウなどの果樹園では地表を厚く覆って根の呼吸を妨げ、根腐れの原因になっている。このままだと収量減や生育不良を免れない状況だ。強い台風5号も迫り、九州北部では7日にかけ、再び大雨の恐れがある。農家やJAは“二次災害”の拡大を強く警戒している。

 「まるで分厚いれんがだ」。福岡県朝倉市で稲作を営む小川靖雄さん(80)は、連日の暑さで干上がり固まった土砂の塊を手に取った。小川さんが管理する水田1ヘクタールは川の氾濫で土砂が流入し、半分が壊滅した。残りの半分は稲が埋没することなく生き残ったが、土砂が6、7センチほどの硬い層になっている。稲は重い土砂に押さえつけられ、通常の分けつが進まない。例年ならこの時期、1株20~25本に増えるはずだが、ほとんどが2、3割少なく、出穂する数が大きく減る恐れがあるという。「水管理は、肥料は、どうすればいいのか。育ったとしても土砂の上から収穫できるのか」。小川さんは、考えるほどに不安が大きくなる。

 JA筑前あさくら管内の朝倉地区では水田540ヘクタールのうち、6割が小川さんの水田のように土砂が堆積した状態という。朝倉普及指導センターは今後、今の水田の状態でも一定量の収穫を実現するため、栽培管理の指針を出す考えだ。ただ、水田ごとに流入した土砂の量や質が異なることもあり、指針作りは難航しているという。

 今作の収穫が終わった後は、土砂の撤去が始まる。ただ、同地区では麦の輪作を営む農家が多い。米の収穫から麦の種まきまでは約1カ月。作業が終わらなければ、麦の栽培にも影響が出るのは必至だ。

 果樹の影響も深刻だ。JA管内には、数十センチも土砂が堆積している柿やブドウの園地がある。根が酸欠状態で、このままだと木が枯死する恐れがある。同センター園芸課は、根が一部分でも呼吸できるよう、果樹の間にある作業路上の土砂に絞って撤去を呼び掛けている。5日も、日中の気温が35度に迫る厳しい暑さの中、農家の手で作業が進められた。

 現在、強い台風5号が九州に迫っている。九州北部では6日午後6時までの24時間雨量が多い所で250ミリに上る見込みだ。同センターは「大量の雨でまた作業路が埋まってしまえば農家の心が折れてしまう。何とか、それてほしい」と願う。(金子祥也)

最終更新:8/6(日) 7:01
日本農業新聞