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「時間消費」か「時短」か。不振の百貨店が腐心

8/6(日) 14:51配信

ニュースイッチ

そごう千葉店別館を全面改装、ファッション関連の売り場を大幅減らす

 そごう・西武は、基幹店に投資を集中する「首都圏戦略」の第1弾として、そごう千葉店(千葉市中央区)の別館「ジュンヌ」を2018年3月までに全面改装する。約25億円を投資し、雑貨や食、サービス関連の店舗を増やす。面積ベースで7割あったファッション関連の売り場を同4割に抑え、18年度にジュンヌの扱い高を、16年度比25%増の90億円に引き上げる。

 クッキングスタジオを設けるなど、「時間消費型」の施設に転換する。郊外のショッピングセンターの台頭などで、同店周辺は三越千葉店やパルコ千葉店が閉店するなど厳しい環境下にある。林拓二社長は2日、千葉市内で会見し、「百貨店に求められるのは編集力」と話した。今後もそごう横浜店(横浜市西区)などを改装する。

 そごう・西武は業績低迷で店舗の閉鎖などのリストラを実施。親会社のセブン&アイ・ホールディングスの中期経営計画「100日プラン」のもと、再建を進めている。

 百貨店大手5社の7月の売上高(速報値)は、猛暑でサングラスやパラソルなど夏物の売れ行きが好調で、3社が前年同月を上回った。訪日外国人による免税売上高も大幅増となったが、三越伊勢丹を除き、クリアランスセールの開始日を7月1日から6月30日に前倒しした点が押し下げ要因になり、2社がマイナスとなった。

 各社の既存店売上高は三越伊勢丹が前年同月比0・8%増、大丸松坂屋百貨店が同0・6%増、高島屋が同0・2%減、そごう・西武が同1・2%減、阪急阪神百貨店が同5・2%増だった。

 クリアランスセール実施中も値下げ品よりも、集客を見込んで品ぞろえを強化した正価品の売れ行きが好調だった社が多かった。大丸松坂屋はその要因について「消費者の価値観が変化している。安易に財布のひもを緩めず、価格が安くなっても『不要なら買わない』と判断している」と分析する。

「食」と「化粧品」で中間所得層を掘り起こし

 そんな中、百貨店が食や化粧品といった、比較的低価格な商材で特徴を出そうとしている。為替の円安傾向などを背景に、潤沢な資金を持つ訪日外国人が免税品や高額品を求め売れ行きは好調だが、国内のいわゆる“中間所得層”の消費は停滞している。インターネットをはじめ販売チャンネルが多様化する中、「健康」や「時短」といったニーズを掘り起こす狙いだ。

 高島屋は玉川店(東京都世田谷区)に、発酵食材の総菜専門店を6月に開いた。同店を運営するフードアンドパートナーズ(同中央区)は、高島屋と貝印の共同出資会社。2016年秋に新宿店(同渋谷区)に設けたカフェに続く、初めてのテークアウト専門店だ。

 こうじで漬けた唐揚げや塩こうじ漬け豆腐を使ったサラダなどを販売し、健康志向に対応した。ショーケースの照明を明るくするなど、見た目も工夫した。フードアンドパートナーズの仲田勝彦社長は「高島屋をはじめ、他の百貨店でも展開したい」と意気込む。

 松屋は商業施設の銀座インズ(同中央区)に、化粧品のセレクトショップ「フルーツギャザリング」を設けた。顔認識と拡張現実(AR)の技術を組み合わせ、店舗で販売している口紅やファンデーションで化粧した自分の顔を映し出せる画面を設置。スタッフが無料で、ポイントメークのアドバイスもする。

 フルーツギャザリングを運営するエフ・ジー・ジェイ(東京都港区)は阪急阪神百貨店を傘下に持つ、エイチ・ツー・オー リテイリングのグループ会社だ。

 エフ・ジー・ジェイの松下修一社長は「百貨店のカウンターではフルサービスを提供しているが、時間がない女性が増えている」と説明する。

 銀座では「東急プラザ銀座」「ギンザシックス」といったショッピングセンターが相次いで開業している。30日にはマツモトキヨシホールディングスが働く女性向けの新業態店を開くなど、競争は厳しくなっている。

 「銀座と有楽町には(ピーク時で)百貨店が8あったが、今は(実質的に)三越と松屋のみ」(松屋銀座の横関直樹店長)。フルーツギャザリングには百貨店にない若者向けブランドをそろえ、顧客の幅を広げる狙いだ。

最終更新:8/6(日) 14:53
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