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回転ずし好調の陰で、老舗「たいこ弁当」全店閉鎖のなぜ?

8/6(日) 17:48配信

ニュースイッチ

ファストフード店の競争激化

 富士経済(東京都中央区、清口正夫社長)は、外食産業のうちファストフードやテークアウトなど6カテゴリーの市場調査結果をまとめた。ファストフード市場の売上高は2016年が前年比3・5%増、17年も同2・5%増の2兆9682億円と引き続き拡大を見込む。回転ずしや天丼・天ぷらが好調。日本マクドナルドが他社と差別化した商品の投入や改装で回復した点も寄与している。

 ファストフード市場のうち回転ずしはファミリー層を取り込み、16年は同4・8%増、17年も同3・2%増の見込み。立ち食い・セルフ式そばうどんも16年が同2・0%増、17年も同1・4%増とプラスを予想する。従来は駅構内の立ち食いそば店が中心で男性客が主だったが、讃岐うどんのチェーン店が女性やファミリー層を開拓している。

 テークアウト市場は16年が同2・2%増、17年も同2・2%増の見込み。量販店の総菜やコンビニエンスストアのコーヒー、揚げ物などがけん引している。交通機関市場は16年が同1・7%増、17年が同1・3%増の見込み。訪日外国人の増加で機内食や客船食堂の需要が増えており、豪華列車の車内食堂も好調だ。

チェーン店の先駆者、不透明な投資で窮地に

 そんな中、今年1月いっぱいで兵庫県で知らぬ者はいない食堂チェーン「たいこ弁当」が全店閉鎖した。ピーク時は県内に40店舗を構え、年商100億円を誇った業界の先駆者がその歴史の幕を下ろした。

 弁当・総菜のほか、うどんやカレーライスなども提供する庶民的な食堂「たいこ弁当」は、最近増加中のロードサイド・大型駐車場・イートインのコンビニエンスストアのはしりとも言え、コンビニやファストフード店が少なかった当時は近隣住民はもちろん、長距離トラック運転手などに人気を誇った。

 バブル経済の真っただ中、業績は年商100億円超と好調だったが、不動産・ゴルフ会員権・絵画などへの投資で有利子負債が62億円に膨らんでいた。バブル経済が崩壊後、業績は坂道を転げ落ちるように下降の一途をたどった。

 資金繰りに窮した2006年には中小企業再生支援協議会を通じた経営再建に着手するも、大手コンビニが郊外出店を加速。ドライブ・スルーのファストフード店、セルフ式うどん店などライバル店との競合が激化していた。不採算店舗の相次ぐ閉鎖で風評は悪化し客足も遠のいた。

 また、度重なる代表交代が経営陣の求心力低下を招き、人材が流出。さらに、一部店舗をセルフうどん店に業態転換するも3カ月で撤退。集客に欠かせない総菜販売を休止したほか、高収益のおせち料理からの撤退など、場当たり的な経営判断が、その後の破綻を不可逆的なものとした。

 創業時、播磨エリアでは誰も目を向けていなかった郊外ロードサイドの食堂経営。チェーン店の先駆者として成長したが、バブル経済とその後の失われた20年に翻弄(ほんろう)された。しかし、いつの時代も不要かつ不透明な投資は経営陣の放漫と言える。好事魔多し。業績が好調なときほど将来を見据えた堅実な経営判断が求められる。

帝国データバンク情報部×ニュースイッチ

最終更新:8/6(日) 17:48
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