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ARTA NSXが冷や冷やトップチェッカー。ホンダがGT500で2年ぶりの優勝を飾る

8/6(日) 18:12配信

オートスポーツweb

今シーズン5戦目となるスーパーGT富士。真夏に行われた1戦は、ARTA NSX-GTがポールから首位をキープし、トップチェッカー。ホンダに2年ぶりの優勝をプレゼントしたが、レースは山あり谷ありの展開だった。

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 室屋義秀の2日間に渡る空中でのパフォーマンスの興奮が醒めやらない、スーパーGT第5戦富士。真夏のGT富士は5月のゴールデンウイークほどの混雑にはならないからか、金曜日の搬入日から芸能人、著名人の姿がパドック裏で見られ、賑やかなサーキットに華を添えた。

 上空には富士山方面に黒い雲が見えるものの、サーキット上は室屋の代名詞である”室屋ホイール”(螺旋を描きながら垂直降下して回転する技)がくっきりと青空に残る青空のもと、気温26度、路面温度36度の気温の中でレースが始まった。

 白バイ9台、パトカー4台が先導するパレードラップ、陽炎の中から浮かび上がるようにストレートを通過した後、フォーメーションラップへ。そしてレッドシグナルがグリーンに変わった直後、2番手のMOTUL AUTECH GT-RがポールのARTA NSX-GTにアウト側から並び掛かるが、ARTAの野尻智紀は落ち着いて1コーナーを旋回。その後方も大きなアクシデントはなく、クリーンスタートでグリッド順のままオープニングラップを周回する。

 3周目にはフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-RがKEIHIN NSX-GTをパスして4番手に浮上。5周目になるとGT500のトップがGT300クラスの周回遅れに追いつき始め、コース上では車両が入り乱れる展開になる。

 6周目には6番手ZENT CERUMO LC500と5番手KEIHINがテール・トゥ・ノーズになり、ZENT立川はストレートで背後に付くと、まったく躊躇を見せずにKEIHIN 小暮卓史のインに並び掛かる、しかし、ここは小暮が抑え、順位は変わらず。

 その後方ではWAKO'S 4CR LC500とカルソニック IMPUL GT-Rが順位を争い、WedsSport ADVAN LC500がDENSO KOBELCO SARD LC500をオーバーテイクするなど、GT300を絡めて各所でバトル&オーバーテイクが勃発。

 9周目にはGT300絡みでヘアピンの立ち上がりでZENTがKEIHINのインを奪い、ダンロップ・コーナーでZENTが前を奪い5番手に。カルソニックがS Road CRAFTSPORTS GT-Rを交わし8番手に上がると、WedsSportはWAKO'Sを交わして10番手に上がり、その後もWedsSportの関口雄飛は序々に前との距離を詰めていく。

 ARTAの野尻は安定したラップタイムで周回を重ね、17周目には2番手MOTUL GT-Rと6.4秒のギャップを築く。2番手のMOTUL GT-Rから3番手以下は1~2秒のギャップ。数珠つなぎの状態でGT300の動きによって接近とバトルを繰り返す展開になる。

 19周目にはWedsSportが8番手カルソニックにストレートでイン側から並び掛かるが、カルソニックはストレート後半で速度が伸びる。モニターの表示ではWedsSport 291km/hに対して、カルソニックが295km/hと、GT-Rのバージョン2エンジンのパフォーマンスの高さが証明される形に。

 レースも1/3を過ぎた23周目になると、6番手のKEIHINがピットイン。タイヤ交換、ドライバーチェンジを行うと、ここからピットに入るマシンが続いていく。

 KEIHINがピットインしている最中、コース上では5番手のZENTが4番手のフォーラムエンジニアリングとバトル。しかし、フォーラムエンジニアリングはストレートが速く、ZENTはストレートで並び掛かるも、1コーナーの進入の時には前を奪われてしまう。

 そこでZENT立川はヘアピンなどで技を見せ、最終コーナーの立ち上がりを小さく周り、クリップの時点でフォーラムエンジニアリングのJ-P.デ・オリベイラに並び、サイド・バイ・サイドのままストレートを立ち上がる。2台は接触ギリギリの距離を守りながらストレートエンドまで並走し、インのZENTが4番手の浮上した。

 25周目にはEpson Modulo NSX-GT、KeePer TOM'S LC500がピットイン。

 27周目にはペースのよいZENTが3番手auを捉え、1コーナーでパス。auはソフト目タイヤ、ZENTはミディアム方向のタイヤを選んでいたようで、auはタイヤのグリップが厳しくなってきたものと考えられる。

 auはその後すぐとなる29周目にピットイン。モニター上の制止時間39.0秒で作業を終えるが、再スタートの際、エンジンがストールした模様で動き出しでロスがあった。

 31周目には2番手MOTUL GT-R、3番手ZENTが揃ってピットイン。作業もスムーズに、順位を変えずにそのままコースに復帰。その翌周には首位のARTAがピットイン。モニター上の制止時間37.0という素早い作業でコースに復帰し、悠々と首位をキープ。

 ARTAがコースに復帰した直後、最終コーナーでKEIHINが右リヤタイヤを破損してストップ。GT300をアウトから追い抜く際、右リヤをGT300にヒットさせてしまい、コースのアウト側にストップ。その様子を見てか、33周目にはWedsSport、カルソニック、DENSO KOBELCO SARD RC F、MOTUL MUGEN NSX-GTの4台がピットイン。KEIHINは結局、FROにてコース上から移動させられリタイアとなった。

 34周目にはS Road、RAYBRIG NSX-GTがピットインして、これで全車ドライバー交代を終える。その時点でのトップはARTAで2番手に7秒のギャップ、その後、MOTUL GT-R、ZENT、au、KeePer、カルソニックのトップ6に。2番手のMOTUL GT-Rと3番手ZENTは1秒差でランデブーしながら周回を重ねる展開に。

 そのまま膠着状態となるかに思われたが、44周目に突然ARTAのペースが落ち、2番手のギャップが一気に3.6秒まで縮まる。46周目には2.4秒に縮まり、MOTUL GT-RとZENTが見た目にARTAに追いついていく。コース上にタイヤかすも多くなり、時刻も16時45分となって気温が32度まで下がってきたことでNSX勢に懸念されたタイヤのピックアップのトラブルが起きているのかもしれない。

 後方では4番手auと5番手KeePerのトムスチーム内でのバトルが激しくなるが、3番手ZENTと4番手auの差は10秒近くあり、実質、優勝争いはARTA、MOTUL GT-R、ZENTの3台に絞られる。

 46周目にはMOTUL MUGEN NSX-GTにトラブルが発生した模様で、マシンをガレージに。52周目にはフォーラムエンジニアリングがスロー走行となり、ピットへマシンを入れることになった。

 一旦ペースの落ちたARTA小林崇志だが、その後、2番手のMOTUL GT-Rのペースが落ち始めたこともあり、序々に2番手との差を広げていく。そこで、3番手のZENTが背後にぴったりと付き、2番手争いがヒートアップ。ZENT石浦宏明は何度もストレートでMOTUL GT-R松田次生のスリップに入るが、GT-Rの方がストレートが速い。松田の老獪なブロックもあり、石浦はチャンスを作れない。

 MOTUL GT-Rは54周目にはダンロップコーナーからの立ち上がりの13コーナーでリヤを滑らせ、ZENTがその隙を突こうとするも、ここもMOTUL GT-Rがブロック。ピットガレージでは、険しい表情で歯を食いしばってモニターを見つめる松田のチームメイト、クインタレッリの姿が。一方のZENTは、そのクインタレッリの表情を見たのか、浜島裕英監督のリラックスした表情が。そのまま順位は変わらず、残り10周となる。

 トップのARTAは2番手に6秒強のギャップを作るまでペースを回復するが、残り5周の100R出口でGT300マシンを交わそうとしてラインを外し、車体の半分をコースオフ。その際に大量のマーブルを拾ってしまったようで、ペースが急に落ち、2番手MOTUL GT-Rとのギャップが3秒、そして2秒と周回ごとに縮まっていく。

 残り3周となったところで、ARTAのガレージではチームメイトの野尻智紀がモニターを直視できなくなったか、下向きに目を伏せて祈るような姿が映し出される。

 その野尻の祈りが通じたか、ARTA小林は後続とギャップをなんとか保ったまま最終コーナーを立ち上がると、ヘッドライトを点滅させながら2番手に1.5秒差でチェッカー。チェッカーを務めたのは、スタート前にアクロバティックな飛行を見せてくれた室屋だった。機体にレクサスのサポートを受ける室屋はARTA NSX-GTのトップチェッカーに複雑な心境でフラッグを振ったことだろう。

 2位はリヤを滑らせながら見事なブロックを見せたMOTUL GT-R、そして3番手にZENT、その後、チーム内バトルを制したauが続き、KeePerはファイナルラップに順位を落として6番手、そのKeePerを交わしたカルソニックが5番手となった。

 マシンを降りた小林崇志を迎えた野尻智紀。テレビのインタビューで残り数周になったときの心境を聞かれ、「(モニターは)全然、見ていなかった」と、プレッシャーの大きかった心境を明らかにした。

 ARTAの鈴木亜久里監督も「ここ何年間かすごくつらい時期があって、ふたりも本当によく頑張ってくれた。レースを見るのが本当に辛い。ずっと胃が痛かったけど、ようやく晴れ晴れした」とインタビューに応え、喜びよりも安堵という、チーム全体、そしてホンダ陣営としての気持ちを代弁することになった。

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