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<観光庁検討>訪日客らに「出国税」 観光立国の財源に

8/7(月) 22:01配信

毎日新聞

 訪日外国人旅行者らから税金を徴収する「出国税」構想が浮上している。安倍政権が掲げる「観光立国」実現に必要な財源を確保する狙いがある。徴収した税金は海外での観光プロモーションなどに充てる計画で、観光庁が検討を進めている。だが、徴収方法など実現に向けた課題は多く、負担増で順調に進む訪日客増加の足を引っ張る懸念もある。

 「現在、諸外国の事例を研究しており、勉強している段階だ」。観光庁の田村明比古長官は7月19日の定例記者会見で、旅行者への課税を検討していることを明らかにした。

 政府が5月に策定した「観光ビジョン実現プログラム2017」には「高次元で観光施策を実行するために必要な財源の確保策を検討」と盛り込まれた。観光庁はこの方針に沿って、日本人も徴収対象に含めるかや、具体的な徴収方法などについて検討している。

 16年は訪日外国人数が約2400万人、日本人出国者数は約1700万人で、仮に1人1000円を徴収したとすると約400億円の財源が確保できる。制度設計はこれからだが、こうした財源を海外での観光プロモーション強化や、出入国管理のシステム高度化などに使うことを想定している。

 訪日客は東京や京都など主要観光地に集中する傾向があり、地方への誘致が課題。政府は地方にも訪日客増に伴う経済効果を波及させる考えがあり、その一環としてプロモーション強化を図る。

 だが、徴収実現には課題が多い。航空機を利用する場合は航空券に上乗せして徴収できるが、船舶は航空機とシステムが異なるため上乗せができない。日本人から徴収する場合、負担するメリットを感じにくく反発を招く恐れもある。外国人にとっても訪日の割高感が増す可能性がある。

 一方、海外では欧州主要国が航空旅客税を徴収しているほか、韓国も空港、港湾を問わず出国時に納付金という事実上の税金を徴収。米国もビザ免除対象国の国民から電子渡航認証システム(ESTA)で14ドル(約1540円)を徴収し、観光促進の財源に充てている。

 政府は、東京五輪・パラリンピックが開かれる20年に訪日客を4000万人まで増やす目標を掲げている。観光庁は「目標達成には今以上の施策が必要」として、海外事例なども参考に18年度税制改正要望などを通じ、実現を目指す方針だ。【井出晋平】

最終更新:8/7(月) 22:46
毎日新聞