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艶っぽいドレス姿でオデュッセウスに杯差し出す美女キルケー 「怖い絵」を読む

8/7(月) 11:00配信

産経新聞

 艶(つや)っぽいドレス姿で酒杯を差し出す美女は、ある島の主、キルケー。椅子のひじかけには獅子の顔、脚にはひっかかれたらひとたまりもなさそうな爪が刻まれる。「肉食系」の象徴だ。

 そこに流れ着いたのが、背後の鏡に映るオデュッセウス。何が怖いのか、というと、この酒を飲んだ男は彼女の左手に持つ魔法の杖(つえ)で、けものに変えられてしまうのである。足元に転がっている豚のように…。

 英国の画家、ウォーターハウス(1849~1917年)は、象徴主義でいう「運命の女」(ファム・ファタール)の代表として、ホメロスが記した古代ギリシャの叙事詩に登場するキルケーをよく描いた。

 キルケーは、事前に姦計(かんけい)を知ったオデュッセウスに屈服させられることになるのだが、画家が描こうとしたのは、美しい女性の背後に垣間見える「高慢」と「残忍」であろう。「怖い絵」展は神戸市中央区の兵庫県立美術館で9月18日まで開催。

最終更新:8/7(月) 11:00
産経新聞