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リオ・オリンピック・パラリンピックから1年。レガシーの活用状況は…

8/7(月) 8:26配信

MEGABRASIL

リオ市民は「部分的整形手術」と揶揄

感動的なあの祭典からちょうど1年、リオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックのレガシーは今どのように活用されているのだろうか。

2016年のオリンピック、パラリンピック開催のため、リオデジャネイロ市は410億レアル(約1兆5580億円)を費やした。忘れがたい祭典の感動がある一方で、忘れられているのがオリンピックレガシー(競技用建造物)だ。

オリンピック後の長引く不況の中、レガシーを使ったイベントの開催はもちろんのこと、日々の管理もほとんどされておらず、放置状態だという。

地下鉄4号線は予定よりも敷設距離は短いままで、建設途中で放置された駅もある。不完全な状態のため4号線の乗降客は当然、予想された1日30万人の半分の15万人にとどまっている。地下鉄敷設費用は100億レアル(約3800億円)で、この支出は贈収賄捜査ラヴァ・ジャット(洗車)作戦の捜査対象となっている。

市内の道路工事はもう4年も続いており、市民は工事現場にうんざりしている。市内の一部は再開発できれいになったが、市民に「部分的整形手術」と揶揄されている。

オリンピック期間中、会場までの交通手段として毎日満員だった交通システムBRTだが、会場跡地への誘致が進まず、今や稼働していない路線・駅もある。
オリンピック村については、祭典後の活用方法として公立学校の施設として再活用されるという話も出ていたが、いまだにそうはなっていない。

一部スポーツ振興省の管轄になっているバスケットボール、競輪、テニスの競技場はオリンピックから1年たってもほとんど使われておらず、協議会の予定がちらほら入っているのみだという。競輪場は7月30日に火事があったため、会場の一部が損傷し、競技会の開催に悪運が立ち込めている。

第3アリーナは市の管轄なので週末には市民に開放されている。

アレーナ・ド・フトゥーロ(未来のアリーナ)は、当初の予定では解体され市内の他地域の公立学校4校に生まれ変わるはずだったが、予算の問題が立ちはだかる。

「この事業計画は今後1年かけて再検討をいたします。解体し再度組み立てなおすには予算が足りないのです」(スポーツ振興省の地域副所長、パトリシア・アモリン氏)

プールのいくつかは解体され、軍に引き渡された。デオドーロ競技場は暴力的行為によりひどい損傷を受けている。憩いの場所として民衆のために開放されるべきハヂカウ広場は、まだ閉まったままだ。

「もしオリンピックがなかったら、私たちは何もない場所で今と同様の不況を迎えたでしょう。オリンピック開催にこぎつけたのは、奇跡です」(リオオリンピック委員会広報ディレクター、マリオ・アンドラーダ氏)

同じ不況なら、レガシーがあったほうがまだましでしょ? ということか。

グアナバラ湾、トゥビアカンガ海岸はオリンピックの恩恵を受けただろうか。トゥビアカンガ海岸はゴベルナドール島にある漁村で、以前は魚とエビの重要な産地だった。

今はいずれも最も汚染が進んだ地域として知られているが、22年前に始まった環境汚染対策からまだ何の恩恵もうけられていない。逆にごみの量や汚泥の層は増える一方で、漁業従事者たちの生活を脅かしている。この2か所に関してはオリンピックの開催は状況の改善に立たなかった。魚は減り、ごみは増え、公約は果たされないままだという。

2020年東京オリンピック後の状況がこうなるとはあまり思えないが、オリンピックレガシーは、その価値を保つために相応の維持費がかかることを改めて思い起こさせられる事例だ。

(文/原田 侑)

最終更新:8/7(月) 8:26
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