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奈良のシカ 捕獲開始 農業被害に歯止め 市東部2地区

8/7(月) 7:01配信

日本農業新聞

 国の天然記念物「奈良のシカ」の捕獲が奈良市東部の2地区(田原、東里)で始まった。奈良公園周辺で食害による農業被害に歯止めがかからないためで、奈良県は文化庁の許可を得て、本年度は120頭を上限に捕獲する。頭数管理のための捕獲は天然記念物に指定された1957年以降初めて。

 捕獲手法は箱わなで、おりの中に餌を置きおびき寄せ捕らえる。2地区は同公園から約5キロ離れ、農業被害が集中する地域。県猟友会の協力で7月31日、計6基のおりを設置した。県によると4日現在、鹿は捕獲されていない。

 「奈良のシカ」は春日大社の神の使い「神鹿(しんろく)」とされ、観光資源として保護されてきた。

 県によると、保護の対象区域は2005年の合併前の旧市内全域で約4000頭が生息するとみる。食害は稲を中心に柿、シイタケ、茶など多岐にわたる。

 農家は実質追い払いしかできず、防護柵の設置も農地全てを囲むことは困難で、被害の根絶にはつながらなかった。

 県の農業被害アンケートで、13年度までの5年間で「被害が増えた」と回答した旧市内を含む県北部の農家は7割を超えた。

 過去には鹿害に苦しむ地元農家が行政を相手取り損害賠償請求を起こした他、地元農家が64年に結成した「奈良市鹿害阻止農家組合」が県知事へ鹿害対策の要望書を提出するなど、幾度となく被害抑制策を求めていた。同組合の福井甚三組合長は「捕獲は農家組合にとって大きな一歩」と力を込める。

 担当する県奈良公園室は「農家とのあつれきをなくし、人と鹿との共存を図っていきたい」と話す。

日本農業新聞

最終更新:8/7(月) 7:01
日本農業新聞