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グーグル「空飛ぶ車」、渦中の人物も参画していた

8/7(月) 16:22配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 グーグルの共同創業者ラリー・ペイジ氏が設立した「空飛ぶ車」開発会社キティホークは、グーグルのスターエンジニアだったアンソニー・レバンドウスキ氏をプロジェクトのメンバーに加えていた。同氏が昨年、配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズに移籍する数カ月前のことだった。同氏は移籍の際、グーグルの企業秘密を盗んでウーバーに持ち込んだとされている。

 キティホークにレバンドウスキ氏が参加したことは、グーグルにおける同氏の異例な経歴の一端を示している。同氏は9年余りのグーグル在籍期間中、担当していた自動運転車やその他のプロジェクトに関連する複数の別会社を設立し、1社を約2000万ドル(約22億円)でグーグルに売却した経歴の持ち主だ。

 レバンドウスキ氏がグーグルを退社した後、ウーバーとグーグルの親会社アルファベットの法的争いが始まった。アルファベットは、ウーバーがレバンドウスキ氏と共謀して自動運転車に関わる企業秘密を盗んだと主張している。アルファベットはレバンドウスキ氏に関わる別の2件についても仲裁を請求している。

 アルファベットの最高経営責任者(CEO)であるペイジ氏が設立したキティホークは、大型の消費者向けドローンに似た1人乗り電動飛行機を製造する社外の非公開企業。関係筋によると、レバンドウスキ氏はグーグル在籍中にペイジ氏のプロジェクトのメンバーだったが、キティホークの正式な従業員ではなかった。

 事情に詳しい筋によると、レバンドウスキ氏はペイジ氏の牧場で、ペイジ氏の目の前でこの飛行機のテストを手伝った。ペイジ氏は7月、ウーバーの弁護士による5時間近くに及んだ聞き取り調査で、レバンドウスキ氏がキティホークに関わっていたことを認めた。

 アルファベット、ウーバー、キティホークはいずれもコメントの要請に応じなかった。レバンドウスキ氏も弁護士を通じコメントを控えた。

 レバンドウスキ氏がキティホークで働いていたことは、同氏がアルファベット幹部から高い評価を受けていたことを物語っている。また、レバンドウスキ氏の副業がアルファベットでは完全に場違いというわけではなかったことを示している。

 アルファベットは、ドローンや飛行船を含むさまざまな航空プロジェクトを研究している。ペイジ氏はこれとは別に空飛ぶ車の企業2社を設立。グーグルのもう1人の共同創業者サーゲイ・ブリン氏は個人で飛行船に出資している。

 2日に公開された証言記録によると、ペイジ氏はグーグルの自動運転車プロジェクトの責任者を務めていたレバンドウスキ氏に対し、グーグル在籍中は競合する企業の設立を思いとどまるよう要請していた。

 この記録によると、レバンドウスキ氏がペイジ氏に自動運転トラックを開発する企業の設立を検討していると告げた時、ペイジ氏は「極めて競争が激しくなり好ましくないと、レバンドウスキ氏に非常に明確に言った」。また「グーグルでやっていることと同じだ。企業を設立することは可能だが、われわれはうれしくない」と告げたともしている。

 レバンドウスキ氏は2016年1月、自動運転トラック開発会社オットモットの設立を登記し、数日後にグーグルを退社した。アルファベットは、1万4000の企業秘密のファイルを同氏が持ち去ったとしており、これはウーバーとの共謀の一部だったと主張している。

 ウーバーは昨年8月、オットモットを6億8000万ドル相当の株式で買収し、レバンドウスキ氏を自動運転車プロジェクトの責任者に起用した。ウーバーは、アルファベットが主張しているような窃盗には全く関わっておらず、自社の自動運転車は自社の技術で開発したと説明している。

 アルファベットは2月にウーバーを提訴し、10月に陪審裁判が予定されている。レバンドウスキ氏はすでにウーバーを去っており、一連の問題については、黙秘権などを認めた合衆国憲法修正第5条に基づきコメントを避けている。

By Jack Nicas