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築地長屋の心意気!火元店の会合辞退説得し共に再生

8/7(月) 8:39配信

日刊スポーツ

 3日夕に東京・築地場外市場で店舗7棟が全焼するなどした火災で、被災した17店舗の関係者が6日、初めて火災現場に足を踏み入れた。当初、火元とみられるラーメン店は謝罪をした上で「被災者会議」への加入を辞退したが、他の16店舗が「同じ長屋で商売するのだから17店舗でなければ意味がない」として引き留めたという。この日は処理作業に向けての被害状況の把握と、今後の営業などに必要な帳簿など資料の回収が行われた。作業初日、本紙記者が同行した。

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 火災現場となったアーケード商店街「もんぜき通り」各店の天井はすすで充満していた。「うわー、釣り銭の袋があったぞ」「ぬれてるけど帳簿は燃えてない」「スイカとモモは無傷だ」。火災後、初めて足を踏み入れた17店舗の関係者は、再び戻ってきたそれぞれの持ち物をさすりながら、抱きしめながら喜びの声を上げた。

 東京消防庁の現場検証が終わり、警視庁の規制線がようやく解除されたのは前日5日夜。同日に被害を受けた店舗の関係者らが集まって会議を開き、6日午前8時から一斉に火災現場に入ることを取り決めた。

 店舗前にブルーシートを掛け、店の備品はそのままにして、今後の商売に関連する帳簿などを確認して持ち出した。ブルーシートを掛けたのは、がれき処理を進める際の粉じんが飛ばないようにすることと、火災被害を受けていない他店舗が通常営業ができるための配慮からだ。

 もんぜき通りから西通りに抜ける通路は、トタン屋根が外れて床に折り重なって散乱していた。もんぜき通りの2階から伝ってきたと思われる火の手は1階部分をのみ込んだようで、ほとんどが黒く、すすけていた。

 17店舗には、火元とみられるラーメン「井上」も入っている。関係者によると当初、井上側は「本当に申し訳ない。この集まりには入れません」と深く頭を下げた。しかし、他の16店舗代表者が「確かに火元かもしれないが、わざと火をつけたわけじゃない。これは事故で、井上も被災者なんだ。同じ長屋で商売してる。再生するなら17店舗は一緒だ」と説き伏せたという。

 がれき処理では、店内に入る際には周囲で声掛けをして、危険なようであればすぐに撤退した。今後、火災現場をどう再建していくか、具体的には何も決まっていない。魚市場や仲卸など市場機能は豊洲移転が決まっているが、個人所有の土地の場外は路地文化を継承しながら築地で商売を続ける。被災した長屋17店舗が、再生に向けて団結を深めた処理作業の初日だった。【寺沢卓】

 ◆築地場外火災 3日午後4時50分ごろ、築地場外市場内で建物から出火したと東京消防庁に通報があった。ポンプ車など60台以上で消火活動に当たり、出火から約15時間後の4日午前8時10分ごろに鎮火。木造の店舗7棟計935平方メートルを全焼し、けが人はいなかった。警視庁などの調査では、ラーメン店「井上」の厨房(ちゅうぼう)付近の燃え方が激しかったことが判明。出火直前まで店ではこんろを使用しており、同庁はこんろの火が近くのステンレス製の板を介して木製の壁に伝わり出火する「伝導過熱」が原因とみて調べている。

 ◆築地場外市場 築地本願寺(前西本願寺築地別院)を中心に、58の寺院が密集する門前町だった。現在西を向いている本願寺は、元々南側を向いていて、現在の中通りが本参道だった。1923年(大12)の関東大震災でほとんどの寺が瓦解(がかい)し、寺が移住したあとに空き家となった場所に商店が入り、現在の場外市場の原型に。現在は約400店が軒を連ね、入り組んだ路地とグルメが人気。週末には外国人ら約5万人が訪れる観光スポットになっている。

最終更新:8/7(月) 8:47
日刊スポーツ