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【米経済ウオッチ】フルタイム就業者数は減少、雇用は危機ライン接近

8/7(月) 6:45配信

Bloomberg

コーン米国家経済会議(NEC)委員長は7月の雇用統計について、「良好な数字だ。トランプ大統領の経済政策が米国民を労働力として呼び戻している。それはまさに大統領が実行すると表明していたことだ」と胸を張った。同委員長はブルームバーグ・テレビジョンとの会見で、7月の非農業部門雇用者数が約21万人の純増となったことに言及した。

同雇用者数は事業所調査に基づくものだが、家計調査に基づく雇用形態別の就業者数に迫ると、フルタイム就業者数が減少する一方で、パートタイムの就業者数が急増していることが分かる。7月のフルタイム就業者数は前月比で5万4000人減少した一方、週就労時間35時間未満のパートタイム就業者数は39万3000人も増えている。このパートタイム就業者数の伸びに押し上げられて全就業者数は34万5000人増加した。

このフルタイム就業者数は精度の高い景気一致指標の役割を果たす。過去2度の景気拡大期を振り返ってみると、前回の拡大期では2007年11月に1億2200万人まで増えたところでピークアウトし、米経済はその翌月にグレートリセッションに陥った。その前の拡大期では2001年3月に1億1500万人でピークを付けたところで景気後退に突入している。今回の景気拡大期では今年4月の1億2600万人がピークとなる可能性を秘めており、危機ラインが目前に迫ってきた感がある。

さらに、失業率も景気循環を探る上で貴重な手掛かりとなる。労働省は7月の失業率を4.3%と発表、5月と同水準に低下したとしている。失業率は失業者数を労働力人口で除したもので、労働省は下2桁で四捨五入した数値を公表している。これを下4桁まで記すと、7月は4.3497%で6月の4.3567%をわずか0.007ポイント下回ったにすぎない。実際にはほぼ横ばいである。5月は4.2939%で、今回の景気拡大局面ではボトムを形成している。

前回の景気拡大期では2007年3月の4.3979%がボトムとなり、その9カ月後の同年12月にグレートリセッションに陥っていた。米金融当局者は失業率の低下に基づいて、「最大限の雇用確保」に自信を深める一方、景気循環の転換点に差し掛かかってきたリスクを見逃しているようにみえる。

(【米経済ウオッチ】の内容は記者個人の見解です) --取材協力:Chris Middleton

Tsuneo Yamahiro

最終更新:8/7(月) 6:45
Bloomberg