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岡崎体育を皮切りに、高橋幸宏&鈴木慶一はテレキャスの“のん”と共演『WORLD HAPPINESS』

8/8(火) 11:45配信

エキサイトミュージック

今年で10年目を迎えた音楽イベント『WORLD HAPPINESS 2017』が8月6日(日)、東京・葛西臨海公演 汐風の広場で開催され15組のアーティストが6時間以上に渡って競演した。

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12:30。オープニングコールもないところに岡崎体育登場。かと思うと、爆音のリズムに乗せて大きな身体を揺らせながらの熱演に、会場は一気に岡崎ワールドに。関西弁混じりのMCで客席を笑いに誘いながら、シニカルで毒のある岡崎ワールドに、いつしか聴衆も引き込まれていく。青空の下、堂々のオープニングを飾った。

オープニング映像が流れると、ステージにはキュレーターの高橋幸宏といとうせいこうの二人が登場して開会宣言。この日は広島原爆の日。9,000人の観客と共に1分間の黙祷。広い会場が静謐な空気に包まれる。

続いてコトリンゴのステージが静かに始まる。中盤、「この日は8月6日なので心を込めて歌いたいと思います」と言って始まったのは「悲しくてやりきれない」。ワンフレーズ歌ったところで「スペシャルゲスト、のんちゃんです」と紹介されたのんが、緊張した面持ちで登場。この曲はコトリンゴが音楽を担当し、のんが声優を務めた映画『この世界の片隅に』のオープニング曲。コトリンゴ、続いてのんが1コーラスずつを歌い、最後は二人でデュエット。会場も二人の共演に静かに聴き入った。

続く宮内優里は、過去に高橋幸宏と共演したこともある、エレクトロニカ界ではキャリアも実績も充分なアーティスト。この頃すでに会場の気温は上昇の一途であったが、海辺に響く電子的な音色が心地よい。

ここからは気鋭の若手アーティストが2組続く。Nulbarichはソウル、ファンクにアシッド・ジャズのテイストを随所に散りばめ、ブラック感溢れる心地よいグルーヴでグイグイと客席を惹きつけていく。

「ワーハピは日本一民度の高いフェスだと思います!」と語るのは、関取花。「私の葬式」と「もしも僕に」の2曲を演奏。8月6日というこの日を踏まえた選曲で、暑い太陽が照り続ける中、清涼剤のような澄んだ声を響かせた。

DUBFORCEのメンバーとともに登場したのは、キュレーターのいとうせいこう。手練れのメンバーによる超絶プレイ、その音を瞬時にダブ・ミックスするDub Master Xの手腕。そこにかぶるいとうのラップ。最高のステージ。中盤からはスチャダラパーと高木完が合流。「裏打ちリズムと一緒にやったことないんですけど」と始まったのはタイニー・パンクスの「MONEY」。ラストは「みなさんもよく知ってるこの曲で!」と「今夜はブギーバック」! 会場が揺れる!

クラフトワークをBGMに、大きなメキシカンハットを被ってレフト・ステージに表れたZOMBIE-CHANG。ラップトップを操作しながら歌うその声は素っ気ないがどこかせつない。ローファイなサウンドに懐かしさを覚える人も多いだろう。

一方、GLIM SPANKYは60s~70sのロック黄金期を彷彿させる目の覚めるような豪快なサウンドで客席を圧倒。昨年に続く出演だが、その成長ぶりには目を見張るばかり。数多くのイベントやライブで腕を磨いて来た成果によるものだろう。曲も昨年までと較べてよりポップな側面が感じられるようになった。

ギター1本を携えてレフト・ステージに登場したのは、みうらじゅん。ギターをかき鳴らしながら歌うその姿は、ディランであり、たくろうであり、みうらじゅんである。曲は大マジ。だが、最後は「暑いのでクリスマスの唄を歌います!」とクリスマス曲を歌うところが、みうらじゅんの面目躍如。

まだまだ陽の高い15:55、くるりが登場。「ワールズ・エンド・スーパーノヴァ」のイントロが演奏されるや「オオーッ!」と場内から歓声が上がる。4ピースのシンプルな編成ながら骨太のサウンドを響かせていく。ブラック・テイスト溢れる「琥珀色の街、上海蟹の朝」ではラップも披露し「Liberty & Gravity」で30分のステージを終えた。

竹中直人は、自身のオリジナル(曲・玉置浩二)からスタート。その渋い低音の声で聴衆を痺れさせ、加えて中学生の頃から慕うという忌野清志郎のカバー「いい事ばかりはありゃしない」で会場を圧倒。同名映画のテーマ曲でもある「サヨナラCOLOR」(スーパーバタードッグ)で締めくくった。

太陽が少しずつ傾きを見せはじめても、汐風の広場はいっこうに気温が下がらない、どころか、電気グルーヴの登場によって、会場はますますヒートアップ! のっけから「こんにちは、イエローマジックオーケストラです」という石野マイクの挨拶(笑)。さらには「そして全てのテクノの産みの親、電気グルーヴです」とサンシャイン池崎モードの自己紹介が。矢継ぎ早に送り出されるめくるめく音と映像の洪水に、半ば中毒めいた快感がかけめぐる。キュレーター高橋幸宏をネタに使った映像演出も彼ららしいサービスか。そしてその音にもっとも素直な反応を示すのは幼い子供たち。リズムに合わせて嬉しそうにピョンピョンはねまわる姿があちらこちらで見られた。

LEFT STAGEのラストはTOWA TEI。出演アーティストに絡んだ楽曲を盛り込んだプレイリスト。随所にニヤリとさせられるセンスの良さと遊び心。

『ワールドハピネス2017』の最後の出演アーティストは高橋幸宏。「今日は80年代の曲とかをグチャグチャにやりますよ!」という宣言通り、「今日の空」(1985)、「音楽殺人」(1980)、「My Bright Tomorrow」(1983)といった80年代のナンバーが並びオールド・ファンは大喜び。

中盤には鈴木慶一が加わって、THE BEATNIKSコーナーに。デビューアルバム収録の「No Way Out」(1981)を聴かせて聴衆を盛り上げた後は、新曲を2曲披露。その2曲目では鈴木が指揮を執って会場全体で「シェー、シェー、シェー」と歌い踊る、これまでのTHE BEATNIKSにはなかった楽しい風景が見られた。

そして、お待ちかね、のんが再びステージに。幸宏から「本来はロックの人なんだよね!」と紹介されたのんは、赤いテレキャスターを持って登場。見るからに緊張している彼女に「思いっきりいって!」と幸宏が優しく送り出せば、鈴木慶一は「冥土の土産だな、こりゃ」とこれから体験する“はじまりの瞬間”に目を細める。曲はサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」。歌詞にちなんでティラノザウルスの尻尾を付けたのんが、なんと、あの有名なイントロのギター・リフを弾きはじめる。中学生の頃からバンドを組んでギターを担当していたそうで、これが中々の腕前。もちろんボーカルも披露し客席からは「カワイイ!」と声援が飛ぶ。たった1曲だけの参加だったが、強烈なインパクトを残し、この日いちばんのハイライトとなった。

そしてラストはキュレーターいとうせいこうが再び登場。サポートは、この1曲だけのために集まったMETAFIVEの面々。せいこうも「こんな豪華な方々をバックに僕がラップ演ります!」と感無量。日本語ラップのクラシック、タイニー・パンクスの「東京ブロンクス」がスタート。ようやく陽が欠け場内も最高潮の盛り上がりとなる。曲が終わるとのんを始め幸宏バンドのメンバーもステージに集結。いとうせいこうが「また来年ね!」と呼びかけ、6時間15分に及んだワールドハピネス10周年記念の公演が終了した。