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【戦後72年】茨城郷土部隊史料保存会 戦争を語る遺品群

8/8(火) 23:12配信

茨城新聞クロスアイ

戦争の実態を後世に伝えようと、茨城郷土部隊史料保存会(鶴見和満会長)は遺品を収集し、管理する活動を続けている。当時の様子がうかがえる史料は千点を超える。戦争体験者が年々減少する中、多くの遺品が戦争の悲惨さを雄弁に物語っている。


終戦時、県内には100を超える陸海軍の部隊が展開していた。郷土部隊ではペリリュー島で多くの隊員が戦死した歩兵第2連隊が知られるほか、米国本土への攻撃を狙った「風船爆弾」の気球連隊など「語り継がなければならない歴史が多くある」(同会)。保存会は県の広報誌に年1回告知を掲載し、史料の提供を広く呼び掛けている。

ペリリュー島の遺骨調査で遺族が持ち帰った飯ごうや水筒に加え、特攻隊員が親族に宛てた遺書、銃剣や軍服など、これまで保存会が集めた遺品は千点を超える。ただ、これらを基に歴史を伝えるには解説が欠かせない。詳細な内容が確認できない史料は多く、情報収集が大きな課題となっている。

伝え方の課題もある。史料の多くは現在、ひたちなか市勝倉の陸上自衛隊勝田駐屯地内の施設で保管している。一部を展示しているものの、一般の見学は駐屯地への事前申し込みの手続きが必要だ。

保存会は常陸太田市出身で労働相などを務めた衆院議員、塚原俊郎氏(故人)が呼び掛け、1974年に財団法人として発足した。当初は元兵士や元陸軍士官学校の学生など戦争経験者らで組織。現在は任意団体に転換し、12人のメンバーが活動を続けている。

終戦から72年がたち、戦地からの復員者など戦争体験者は高齢化が進み、減少している。県長寿福祉課によると、県内の戦傷病者数は10年前に比べ8割減の134人(4月1日現在)に減っているという。

鶴見会長は「戦争の恐ろしさは伝え続けていかなければならない。戦争経験者が減る中で、当時の史料は沈黙の語り部と言え、誰かがその証言を紡ぐ必要がある」と話し、活動は今後ますます重要になると指摘する。行政などへの支援を求めるほか、人目に触れやすい形での常設展示などを検討していく考えだ。 (前島智仁)

茨城新聞社