ここから本文です

「ISO感度」ってなに? とその最適な設定のコツ

8/8(火) 15:25配信

ITmedia LifeStyle

 「35mmフィルム換算」に続く、フィルムカメラ時代の呪いシリーズ第2弾は「ISO感度」。

被写体の明るさに対してシャッタースピードが遅すぎて明るく写りすぎた場合。露出オーバーという

 まあ、呪いといっちゃうと言葉が悪いけど、デジカメを使っていると避けて通れない「ISO感度」ももともとはフィルムカメラ時代の用語なのだ。

 ISOってのは「国際標準化機構」のこと。まあ、日本工業規格であるJISの国際版みたいなもの。その国際標準化機構が定めた「フィルムの感度」ということで、ISO感度と呼んでいたわけだ。

 カメラはフィルムに光を当てて像を作っていたわけだけど、当てる光の量が少ないと暗い写真になり、多すぎると真っ白になってしまう。適正な光の量を当てなきゃいけない。これはデジカメでも一緒。フィルムの代わりにイメージセンサーを使ってるだけ。

 どのくらいの光が適正かは、その「感度」によって決まる。感度が低いフィルムは多めの光が必要だし、感度が高いフィルムはその逆。

 フィルム毎に「ISO100」とか「ISO200」と感度が決まっていて、それに合わせて当てる光の量(それを露出という)を調節していた。

 デジタルの時代になり、フィルムが「イメージセンサー」に変わっただけでやることは一緒。

 でも、イメージセンサーはフィルムとは原理が違うので、ISOの規格は使えない。かといって何か基準がないと露出を決められない。

 そこでフィルム時代の「ISO感度」を持ってきたわけだ。新しい単位を作っちゃうとフィルムから移行する人が混乱するから。

 フィルム時代はISO100がもっともポピュラーだったので、デジカメの世界でもISO100相当の感度を基準とするカメラが主流となった。だから多くのデジカメはISO100をベースにしてる。

 でも基本感度が低い小さなイメージセンサーを使ってるスマートフォンにはISO30やISO50をベースにしているものが多い。

●感度と露出の関係はこんな感じ

 イメージセンサーとシャッターだけというもっとも単純な仕組みのカメラを考えてみよう(スマートフォンのカメラがそんな感じだ。余計な機構を入れるスペースがないからね)。

 イメージセンサーが受け入れることができる光の量は決まってるので、光を当てる時間(シャッタースピード)で光の量をコントロールする。

 晴天下屋外はめちゃ明るいので、シャッタースピードを速くして光を当てる時間を超短くしてやることで、イメージセンサーに当たる光をほどよくしてやる。室内は暗いので、シャッタースピードを遅くして長い時間光を当ててやることで、イメージセンサーに当たる光の量をほどよくしてやる。

 同じISO感度でシャッタースピードが速すぎる場合、適正な場合、遅すぎる場合で撮り比べるとこんな感じ。

 でも、暗い場所だけどシャッタースピードを速くしたいこともある。

 そういうとき、撮影時のISO感度を自在に変更できるというデジタルカメラならではの技を使う。

 必要に応じてISO感度を上げるのだ。

 でもさっき書いたように「イメージセンサーが受け入れられる光の量」、つまり感度は決まってる。イメージセンサーの感度を勝手に上げたり下げたりはできない。

 その代わり、信号を増幅するという技を使う。

 本来、ISO100であるところをISO1600にしてやると、必要な光の量は1/16になるわけで、その分シャッタースピードを速くできる。

 でもセンサーの感度は変えられないので、センサーに入る光の量は足りなくて出てくる信号も弱い。そこで少ない信号を増幅して増やしてやるのだ。それがISO感度を上げる基本的な仕組み。

 ただ、それをやると暗部のわずかな信号とノイズを一緒に増幅するため、暗いところを中心に画質が落ちる。

 これが「ISO感度を上げるとノイズも増えて画質が落ちる」原因だ。

 面白いのでちょっと実験。

 さっきの露出アンダーだった写真。あれをRAW現像ソフトで適正露出まで引っ張り上げてみる。

 一見、暗すぎた写真をきれいに救えたけど、良く見るとかなりノイズが乗ってる。

 ただし、実際のカメラの中ではもっと複雑な処理をしていてノイズもかなり抑えているのでここまでの差は出ない。技術の進化ってすごいのだ。

 さっきの無理矢理明るくした写真と、はじめからISO感度を上げて撮った写真を並べるとこんな感じ。

 右があらかじめISO感度を上げて撮ったもの。

 かなり違うのが分かるかと思う。最初からISO感度を上げて撮った方がいいのだ。

●ISO感度はどのくらい上げていいの?

 じゃあ、撮る側としては、ISO感度をどのくらいまで上げていいの? となるわけだが、答えは簡単。

 迷ったらISOオートで撮ればOk。身も蓋もないけど。

 ISO感度まで自分でコントロールするのはかなり分かってる人じゃないと難しい。だから「ISOオート」という便利な機能があり、カメラが自動的に「手ブレしない」ように&画質が劣化しすぎないようにコントロールしてくれるのだ。

 基本的には「カメラさん、細かい事はよきにはからってください」である。

 実際に感度をぐいぐい上げたとき、どのくらい画質が低下するかはカメラのイメージセンサーのサイズやそのカメラの画像処理エンジンの能力にかかってくるのでなんともいえないけど、一般にイメージセンサーが大きければ大きい方が高感度に強い。

 ITmediaのカメラレビューはできるだけ高感度時の作例を毎回同じ条件で、比較しやすいよう部分拡大したものを掲載しているので比べてもらえるとよいかと思う。

 自分のカメラはどのくらいISO感度をあげても大丈夫なのか。

 これ、被写体によっても違うし、撮る人がどこまで要求するかも違うので一概にはいえないのですよねえ。

 大きくプリントしたり、4Kディスプレイに全画面で表示するなら画質は維持したいし、人物を撮るときはノイズはない方がいいし、でも手ブレや被写体ブレするくらいなら高感度で撮った方がましだし。

 スポーツや動物を撮るときは感度を上げてでも動きをコントロールして撮りたいし。

 ただ、ノイズ低減の技術はどんどん上がっていて、数年前のカメラに比べると隔世の感レベルの違いがある。

 イマドキのデジタル一眼クラスなら、画質低下を気にして無理に低い感度で撮るより、ある程度感度を上げてブレを防ぐことを第一に考えるのがよいかと思います。

最終更新:8/8(火) 15:25
ITmedia LifeStyle