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コーエーテクモゲームス・鈴木亮浩氏を直撃 『真・三國無双』シリーズはアジアでもクロスメディア展開を推進しライトユーザーへと裾野を広げていきたい【ChinaJoy 2017】

8/8(火) 20:03配信

ファミ通.com

文・取材・撮影:立命館大学 中村彰憲

●『真・三國無双』シリーズの戦略は?
 2017年7月27日~30日、中国最大規模のエンターテインメントの祭典ChinaJoy 2017が、中国・上海新国際博覧中心にて開催。会期前日の7月26日に、ソニー・インタラクティブエンタテインメント上海(SIESH)による“2017 PlayStation Press Conference in China”が上海・メルセデス・ベンツアリーナにて行われた。中国市場における今後の戦略が明らかにされたカンファレンスの模様については、リポート記事をご覧いただくとして、ここではイベント時にスペシャルゲストとして参加していた、コーエーテクモゲームス 『真・三國無双』シリーズプロデューサーの鈴木亮浩氏への直撃インタビューを掲載。中国市場での手応えについて話をうかがった。

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■中国市場の熱気に圧倒された、“2017 PlayStation Press Conference in China”での登壇
――今回、中国語化に対して発表が行われたのですが率直な感想をお願いします。

鈴木亮浩氏(以下、鈴木) やはり、中華圏の方たちはアツくて、その熱気を本当に感じました。ステージの発表で中国語の音声を披露した際、沸いていたので、やっぱりその点に関する関心の高さを改めて実感しました。

――確かに中国語の吹き替えが明らかになった点が発表自体の中で最も盛り上がったように感じられました

鈴木 はい。

――音声吹き替えを進めるうえで、苦労した点は?

鈴木 じつは、音声吹き替えについては『真・三國無双2』の際も収録したことがあったんです。その後、中国のコンソール機市場が大きくならなかったので、やっていなかったのですが、ここ数作品は要望があったこともあり、検討をしてきました。とはいえ、採算などの問題があり、なかなか決断ができませんでした。じつは、中国は声優業が立ち上がったばかりということもあり、声優さんにかかる費用は、かなり高いという状況です。人によっては日本の著名な声優よりも高い場合もあるんです。そのような意味でも懸案としてありました。ですが、今回は正規ナンバリングタイトルということもあり、開発費用における予算も確保できたので、吹き替えに挑戦するいい機会だということで、トライしてみました。一般の人へとユーザー層を広げていくには、現地語対応が絶対に必要です。中国市場でライト層も大きく広げていきたいという意図とともに、音声の現地語化を実現しました。SIE様もユーザー層を広げていきたいという思いがありましたので、当方も歩調を合わせることができたというのもあります。

――声優業が立ち上がって5、6年とのことですが、オーディションはあったのでしょうか?

鈴木 声優さんをとりまとめる会社に委託しているので、そこからの提案を受けて、声を聴きながら適切な配役を決めていきました。

――ローカライズをするうえで注意した点などは?

鈴木 『真・三國無双』シリーズは題材が『三国志』なので、その点はあまり問題にならないのですが、注意が必要なのが衣装です。セクシー系の衣装ですね。たとえば、胸があまりにも露出している場合、セクシー過ぎると指摘されたりします。かつて、『無双Orochi Ultimate』では、そういう指摘を受けて衣装を修正したことがありました。

――今回は中国向けも日本とほぼ同時期発売を目指すということですが、これはすごく大変なことですよね?

鈴木 中国における審査が大変なのは以前から分かっていました。というのも、これまでも数作品を中国で展開してきたので。審査を通過するためのノウハウというのはある程度あるのですが、こちらの予想通りに審査が通ったことはないので、やはりリスクはあります。ですので、SIE様にも協力していただいて、そのリスクをできるだけ減らして……ということを、いまやっている状態です。

――中国の審査は完成品をはじめて実施するわけですよね?

鈴木 そうです。じつは、政府に出す前の段階で、逐一SIE様にはご相談させていただいています。SIE様のこれまでの審査におけるノウハウを活かしていただいて、きびしそうなものは事前に対応するという作業をしているんですね。

――『真・三國無双8』でのオープンワールド化についての、中国での反応についてはどのように捉えていますか?

鈴木 オープンワールドというのは、世界的には比較的以前から採用されているシステムです。『グランド・セフト・オートIII 』がヒットしたことで世界的に定着したと感じています。日本のゲームではこれまであまりなかったことや、『無双』シリーズで初めて採用されたので話題になっていますが、システム的には以前から人気のあるものなので、オープンワールド化自体に対しては、さほどの驚きはなかったようです。むしろ、『無双』シリーズをどうオープンワールドで表現するのか、という点に注目していただいているような気がします。私としては、『無双』シリーズがオープンワールドに結びつくのは一種の必然と思っています。ゲームは、ハードスペックに応じた制限を入れて作っているので、スペックが向上していけば制限を外していくことができます。いまのハードスペックに合わせて、これまでの制限を外したら、結果的にオープンワールドになったとも言えるのです。

――中国市場でのクロスメディアのプロモーションについてはどう思いますか?

鈴木 これまで当社は、国内においてクロスメディア展開を積極的にやってきたのですが、アジア市場においてはあまり展開してきませんでした。ですが、今回、『三国志』という中国向けの題材があるので、これを活かして何かできればと思っています。当社はこれまで、アジアでの販売力自体がそこまで強くなく、プロモーションも弱かったと思います。今回はSIE様にも協力をしていただくのですが、本作がアジア向けの大作という位置づけということもあり、何か大きなことができないか検討しています。日本で培ってきたクロスメディア展開のノウハウをアジアでも活かし、現地の有力なIP(知的財産)と積極的に連携していきたいですね。

――中国ではeスポーツが盛んですが、鈴木さんとしては興味がありますか?

鈴木 ChinaJoyには昨年も来たのですが、スマホ系のeスポーツ大会に接したときに、日本では見たことがないような盛り上がりに驚きました。中国のゲーム市場は世界でもトップクラスと言われていますが、おそらく市場の9割がたはスマホ系で、その中でeスポーツがもっとも大きい市場であると思います。当社には『デッド オア アライブ』シリーズなど、eスポーツ系のゲームを開発する力もありますし。検討する必要があると思っています。

――コーエーテクモゲームスでも、eスポーツでの展開なども視野に入れている?

鈴木 じつは、中国の大手オンラインゲームパブリッシャー、パーフェクトワールドに対し『真・三國無双6』をライセンスし、スマホ向けに『真・三國無双 激闘版』を開発中です。これは対戦格闘ゲームで、昨年の東京ゲームショウでも試遊展示を行いました。それほど遠くない時期に、中国国内でサービスインする予定です。

――『真・三國無双』シリーズのeスポーツ展開もあり得るということですね?

鈴木 そうですね。

――なるほど。では最後に、以上の状況を踏まえつつ、『真・三國無双』シリーズとしての展望を教えてください。

鈴木 私は『真・三國無双』シリーズIP全体を統括しているので、その立場から申し上げますと、やはりIPとしてもっとも人気があるのは日本で、欧米や中国のユーザー層の中心はコアゲーマーです。せっかく、『三国志』というメジャーなタイトルを持っているので、とくにアジアや中国市場において、よりライト層に向けて訴求していきたいと思っています。そのためには、さきほどお話した『真・三國無双 激闘版』や、現在ネクソンさんが運営中の『真・三國無双斬』のように、IPを外部の会社にライセンスして展開するというのも重要だと考えています。スマホ向けタイトルの『真・三國無双斬』は、日本や中国以外の全世界で配信中で、アジア地域を中心に700万ダウンロードを達成していて、ライト層の心を掴むのに成功したと言えます。ゲームに限らず、こういった施策を通して、IPの裾野をさらに広げていきたいですね。

最終更新:8/8(火) 20:03
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