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ランサムウェア拡散阻止の英雄、依然拘束中

8/8(火) 17:07配信

ITmedia NEWS

[AP通信] 米当局によれば、先週ラスベガスで逮捕された英国のサイバーセキュリティ専門家は8月8日にウィスコンシン州ミルウォーキーの連邦裁判所に出廷する予定だが、7日時点ではまだネバダ州の連邦拘置所に勾留中だという。

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 今年5月に世界中で猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」の拡散阻止に貢献したとして称賛されていた英国人ハッカーのマーカス・ハッチンズ氏(23)は7日現在、ネバダ州の田舎町パーランプにある南ネバダ拘置所にいる、と同施設の広報担当者ケーラ・ジーニ氏が明らかにした。

 ハッチンズ被告は、銀行口座のパスワードなどを盗み出すマルウェアを作成し流通させた罪に問われている。同被告の代理人を務めるラスベガスの弁護士エイドリアン・ロボ氏に電話とメールで問い合わせたが、すぐには返答を得られなかった。

 ラスベガスのナンシー・コッペ連邦治安判事は4日、ハッチンズ被告の保釈金を3万ドルに決定。判事はその際、ハッチンズ被告は7日に保釈されるだろうと語っていた。

 判事は、ハッチンズ被告は社会にとって危険な存在ではなく、今後の公判に出廷しない恐れはないと判断。ただし被告にパスポートの引き渡しを命じ、ウィスコンシン州までの飛行機にはパスポートなしで搭乗できると説明した。

 保釈金の用意が間に合わなかったのか、また、7日に身柄を拘束されたままウィスコンシン州に移送されるのかについては定かではない。

 4日の審問ではハッチンズ被告は罪状認否はしなかった。被告は2014年までさかのぼり、コンピュータ不正行為をはたらこうと共謀した罪、通信傍受デバイスを流通させ宣伝した罪、電気通信を傍受しようと試みた罪、許可なく他人のコンピュータにアクセスしようとした罪など、6件の嫌疑で起訴されている。有罪が確定すれば、数十年の懲役刑となる可能性もあるという。

 ハッチンズ被告が7月にミルウォーキーで起訴されていたことは、ラスベガスのマッカラン国際空港で8月3日に逮捕された後に明らかになった。ハッチンズ被告の友人によれば、同被告はラスベガスで開催された世界最大級のハッキングカンファレンス「DEF CON」に出席した後、英国に帰国するところだったという。

 起訴状によれば、ハッチンズ被告ともう1人の被告(名前は非公表)は2014年7月から2015年7月にかけて、銀行を狙ったトロイの木馬型マルウェア「Kronos」を宣伝、販売し、利益を上げようと共謀。ハッチンズ被告がこのマルウェアを作成し、Webブラウザに感染してユーザー名やパスワードを盗み出すプログラムを拡散させることによるサイバー窃盗を可能にしたという。

 情報セキュリティのコミュニティでは、ハッチンズ被告は一部から「信念を持った倫理的なハッカー」と呼ばれるなど、仲間の支持を得ている。米国のデジタル著作権保護団体である電子フロンティア財団(EFF)は同被告に弁護士を付ける手助けをした。同財団の広報担当者カレン・グルロ氏は7日、この件についてのコメントを断っている。

 ハッチンズ被告は英国イルフラクームで家族と暮らし、自宅の寝室にあるコンピュータで仕事をしていた。母親のジャネットさんは、自分の息子はほとんどの時間をマルウェア攻撃の阻止に費やしており、違法行為にかかわるなど「断じてあり得ない」と語る。

 コンピュータの天才で熱心なサーファーでもあるこの巻き毛の青年は今年5月、前代未聞の規模で感染を拡大していたWannaCryのいわゆる“キルスイッチ”を発見し、感染の拡大阻止に貢献した。当時、英国の病院の他、工場や政府機関、銀行など、世界各地のコンピュータシステムを制御不能にしていたこのランサムウェアとの戦いに青年は3日間を費やしたという。

 ハッチンズ被告はそれまで「MalwareTech」というハンドル名で活動していたが、WannaCryの一件で匿名性を失った後は公けの場にも姿を現し、一躍サイバーセキュリティ界のスターダムに躍り出た。WannaCryの感染拡大を阻止した功績に対して贈られた報奨金1万ドルについては、全額を慈善団体に寄付すると語っていた。

 ハッチンズ被告は当時、AP通信に対し、「MalwareTechというアカウントは皆に知られてしまったので、もう使おうとは思わない」と語っている。
(日本語翻訳 ITmedia ニュース)
(C) AP通信

最終更新:8/8(火) 17:07
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