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<夏の高校野球>8・9伝える 長崎出身の横浜・増田中堅手

8/8(火) 12:41配信

毎日新聞

 第99回全国高校野球選手権大会の第4日(11日)に初戦を迎える横浜(神奈川)の増田珠(しゅう)中堅手(3年)は9日の午前11時2分、兵庫県伊丹市の練習場で、いつもの年と同じように黙とうをささげる。自身は長崎市出身で、祖母の久美子さん(74)は広島で被爆。出身地と関東での「原爆の日」への意識の差に戸惑いながら、「長崎で起きたことを伝えていかなくては」と甲子園で思いを新たにしている。

 増田選手は4番打者で、神奈川大会で5本塁打を放った全国屈指のスラッガー。

 原爆を意識するようになったのは、幼いころ一緒に風呂に入った久美子さんの体に残る傷痕を見て、「何でこうなってるの」と尋ねてからだ。久美子さんから原爆について聞かされ、小・中学校の授業でも被爆直後の長崎の様子、今も続く被爆者の苦しみを学んできた。原爆投下時刻には同級生たちと一緒に黙とうをささげるのが、長崎での8月9日だった。

 それが当たり前でなくなったのは、プロ野球選手を目指して神奈川県に引っ越してからだ。原爆の日が近くなっても、長崎のように同級生の間で「今年もあの日が近づいてきた」という雰囲気はない。他の野球部員に「8月9日って、何の日か知っている?」と尋ねても、「野球(や・きゅう)の日だろ」という答えが返ってきた。ショックだった。

 去年の8月9日の投下時刻は、甲子園での1回戦を控え、ウオーミングアップ中だった。時計をチラチラ見ながら時間を確認し、体を動かしながら静かに目を閉じた。今年も同じように、どこにいても、何をしていても「原爆の悲惨さ」に思いをはせるつもりだ。チームメートは不思議がり、「何してるの?」と聞いてくるかもしれない。「その時は『72年前、長崎に原爆が投下された時間なんだよ』と説明したい。知っている人が、伝えていかなきゃならないんで」【中村紬葵】

最終更新:8/8(火) 12:55
毎日新聞

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