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不登校から変わりたくて 逃げずに野球、アルプス席で幕

8/8(火) 19:09配信

朝日新聞デジタル

(8日、高校野球 彦根東6―5波佐見)

■波佐見・木村晟一郎

 兵庫県伊丹市で過ごした中学時代、不登校生徒だった。やる気がわかず、なぜ頑張らなきゃいけないのか、分からなかった。でも、何か変えなきゃとは思っていた。

【写真】アルプス席から声援を送る波佐見の木村晟一郎。帽子のつばには「兄貴との約束」。

 中3の夏、兄昂介(こうすけ)さんの高校野球最後の大会を家族で見て心が動いた。秋に母に告げた。「波佐見に行きたい。自分を変えたい」

 波佐見は母の母校で、三つ上の兄も野球部に所属していた。当初、兄は反対したが、入学前には「甲子園に出ろ。そして自分に負けるな」と応援してくれた。

 最初は、なかなか変われなかった。練習は厳しく、さぼることもあった。勉強にも身が入らなかった。

 1年の冬、得永監督から父と一緒に呼び出され、しかられた。父は「逃げていい」と言ってくれた。でも、逃げなかった。「このままでは何も得られない。頑張るしかない」。波佐見に来た理由を思い出して帽子のつばに書いた。「兄貴との約束」と。

 それから毎日300スイングをノルマに。後ろでついて行くだけだったランニングも、前に出て引っ張った。男子生徒約200人が参加する12キロのロードレースでは、1年の時は最後方だったが、2年では60位に。仲間を驚かせた。

 最後の夏もベンチに入れなかったが、率先して球拾いや用具運びをした。試合後、アルプス席で言った。「波佐見の仲間を誇りに思う。きっかけをくれた兄に感謝したい」。目頭が熱くなった。初めて「やり遂げた」と言えるものができた。(小俣勇貴)

朝日新聞社