ここから本文です

いまさら聞けない! 少子高齢化の日本でソーシャルレンディングの持つ意義

8/8(火) 21:35配信

投信1

ソーシャルレンディングについて、3回にわたりご紹介するコラムの後編です。前編では、ソーシャルレンディングと既存の金融機関との違いを銀行との比較で説明しました。また、中編では、サービスが急速に拡大した背景と、サービス事業者は貸付成立までに何をするのか具体的なプロセスをご紹介しました。

今回の後編(最終回)では、ソーシャルレンディングで世界最大の市場規模をもつ中国と、言わずと知れたIT先進国の米国との共通点から、ソーシャルレンディングの今後の展開と日本の金融サービスの行方を、弊社事業も交えて考察いたします。

ソーシャルレンディングの普及に見る中国と米国の共通点

英国で始まったソーシャルレンディングが、米国で大きな市場を生み出し、その後中国で爆発的に普及しています。IT先進国である米国でソーシャルレンディングが普及したことは自然な成り行きかもしれませんが、なぜ中国市場が後発ながら今や世界最大の規模を誇るまでに急成長したのでしょうか。

この現象の1つ目の要因は、モバイル端末を使ったインターネットの普及です。

2000年以降、中国のインターネット利用者数は増加し続け、2016年12月時点で7.31億人を超えています。人口普及率は中国では53%と日本の83%に及びませんが、利用者数はヨーロッパの人口(7.43億人)にほぼ匹敵します。そのうちモバイル端末でネットを利用する人は、インターネット利用者の実に95%(6.95億人)を占めます。

2つ目の要因としては、銀行非利用者への浸透があげられます。

モバイルインターネットの普及とは対照的に、中国で銀行の資金供給サービスを利用しているのは富裕層や大企業が中心であり、銀行口座を保有しているのは15歳以上の成人で79%にとどまっています(世界銀行調査、2014年)。日本の97%、アメリカの94%と比べて銀行サービスは十分普及しているとは言いがたい状況です。

中国政府は、こうした銀行サービスにアクセスのない一般消費者、中小企業、あるいは貧困層への金融サービスの補完(金融包摂)の手段として、2009年以降、消費者金融サービスを解禁し、産業を振興しました。

その結果、特にここ数年で取扱高も伸びており、2016年末の取扱高は20,639億元、日本円で約34兆円の産業にまで急成長しました。ちなみに、日本での取扱高は2017年に1,000億円に達すると見込まれています。

次に米国の場合、インターネットの普及率の高さは言わずもがなですが、実は米国には、新しく定着した移民層や金融知識が不足している層を中心に、銀行口座を持たない世帯が2014年時点で全世帯の7%、およそ900万世帯存在しています。

それ以外にも、19%の世帯(約2,450万世帯)では、銀行口座を持つものの、本人の意思かどうかは別にして、日々の現金のやりくりのために質屋やペイデーローン(給料日までの短期ローン)などの非銀行の金融サービスを利用していることが報告されています(米国連邦預金保険公社、2015年)。

このように、中国、米国ともに広く普及したインターネットのインフラ上で、銀行のサービスが利用できなかった、または銀行以外の金融サービスを必要としていた層が相当数存在したことが共通しています。

少々乱暴ではありますが、こうした“銀行を利用しない”資金需要者と投資家がソーシャルレンディングを介してつながった結果、大きな市場が形成されたと言えるでしょう。

では、日本の場合はどうでしょうか、そもそも日本でお金を借りたい人たちはどういう人たちでしょうか。

1/2ページ

最終更新:8/8(火) 21:35
投信1