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保育事故で失った息子の13回忌に。母親は遺品の写真展を開き、喪失と向き合った

8/8(火) 6:03配信

BuzzFeed Japan

保育事故で亡くした最愛の息子の死と向き合うため。写真家になった母親が、その遺品やゆかりの場所をカメラに収め、8月8日から初めての個展「20050810」を開く。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

展示のタイトルは、息子が亡くなった、まさにその日を表している。8月10日は、13回忌。母親は「喪失を経験した人たちに、このような対峙の仕方があるんだ、と知ってもらいたい」という。

「息子の遺品を撮った写真たちだから、命日にやらないといけないな、と思っていた。必然ですよね」

そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、榎本八千代さん(49)だ。

会場に展示されているのは、ひとり息子・侑人くん(当時4)の遺品写真たちだ。最期の瞬間に着ていた服、ちいさな使い古された靴。そしておもちゃや、母子手帳、通っていた保育園の様子などが並ぶ。

最愛の息子の喪失と向き合い、「解放」するために。苦しみを抱えながら、1年をかけてゆっくりと、撮影してきたものだ。

「どうして私の息子だけが?という思いは、まだまだぬぐいきれていません。それでも、12年が経って、ようやく息子のことをまとめることができた」

保育事故で失った最愛の息子

侑人くんが、埼玉県の上尾保育所で亡くなったのは、2005年8月10日のことだ。

園内で遊んでいるうちに、行方が分からなくなった侑人くん。約1時間後、ちいさな本棚の中で、ぐったりとした状態で見つかった。熱中症で病院に救急搬送されたが、ちいさな体は、耐えきることができなかった。

「何が起きたかまったく、わかりませんでした」

保育士たちが目を離している間に起きた事故。榎本さん夫妻は民事裁判を起こして真相を明らかにしようとしたが、「なぜ侑人が死んだのか」という疑問の答えは見つからないまま、裁判は終わった。

長年の不妊治療の結果、ようやく授かったひとり息子だった。その死を、簡単に受け止めることはできなかった。

高度不妊治療に挑戦したが、うまくいかなかった。数年間は家の中にこもりきりになり、心療内科で服用も受けた。

何も手につかない、時間がただ流れるだけの毎日が続いた。

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最終更新:8/8(火) 12:31
BuzzFeed Japan