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なぜ「子どもを育ててこそ一人前」という思い込みに縛られるのか?

8/8(火) 6:01配信

ホウドウキョク

「この前、お客さんから『35歳を過ぎて一度も結婚したことがないと、ちょっと“訳アリ”に思ってしまう』なんて言われたんだよね。今32歳だから、タイムリミットはあと3年だねって……。彼女がいるし結婚を考えてないわけじゃないんだけど、結婚に縛られなくてもいいかなっていう気持ちもあるし。だけど、世間的にはそう見られるんだね……」

「子どもの学費」を確保する方法

こうぽつりと漏らしたのは、飲食店の男性店主。お客さんと恋愛話をしていたときに、こんなやりとりがあったのだとか。

先日発表された国勢調査に基づいて国立社会保障・人口問題研究所が報告したデータによれば、2015年の生涯未婚率は男性が23.37%、女性は14.06%で、男女ともに5年前より3%以上増えている。特に都市部に住む人は30、40代の未婚者が珍しくないことを実感している人も多いだろう。

そもそも、結婚する・しないは本人たちの問題。結婚しない選択肢が当たり前になりつつある時代に、なぜ「結婚しないことは悪」といった風潮が依然として存在感を保っているのか。なぜ自分自身に“呪い”をかけるかのように、そういった思い込みを受け入れてしまうのだろうか。結婚や子育ての呪いについて、 『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社)の著者で、男性学の第一人者である田中俊之さんに聞いた。

“呪い”の正体は、現実社会との価値観のズレ

「今の40代が生まれたのは1970年代。当時の日本は、全員とはいわなくても、多くの人が結婚し、男性は仕事、女性は家庭を守ることが一般的でした。そして、結婚したら子どもを産み、子育てについては女性が中心的な役割を担う。

私たちの根底にある価値観は、自分たちが若い頃に経験したことが作り上げるもの。なので、40代にとってはこうした結婚と子育てのありかたが基礎となっています。

ところが、今の時代は従来の家族のありかたから急速に変化しましたよね。自分の価値観と現実社会とのかい離、それが“呪い”としてのしかかっているのです。もし今も当時と同じように、男女の役割分業を前提とした発想や行動パターンは呪いになんてなりませんから」(田中さん、以下同)

周囲に「結婚しない」「子どもをもたない」という考えの人がいても、他人なら「そういう考え方もあるよね」と多様な価値観があることは受け入れられることは少なくない。しかし、それがいざ自分事となると、頭ではわかっているはずなのに、「結婚して当たり前」「子どもはつくるもの」という従来の価値観に縛られてしまう――。それによって、自分で自分を追い込んでしまうことがあるというのだ。

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最終更新:8/8(火) 14:19
ホウドウキョク