ここから本文です

ICBM発射基地のレーダーを「無力化」 電子戦機「EA-18G グラウラー」とは?

8/8(火) 6:01配信

ホウドウキョク

能勢解説委員:
小野寺新防衛大臣はこれまで自分たちでまとめてきた自民党のミサイル防衛提言に基づいて、防衛省がちゃんとすすめているかどうかをきっちり大臣として聞きますよという会見を行いました。

提言ではミサイル防衛について「敵基地反撃能力」ということが打ち出されています。この「敵基地反撃能力」の中に「敵基地を守るレーダーサイトの無力化」という言葉が入っていました。
この「無力化」がキーワードだと思うのですが、この点ではまず防衛装備庁は開発中の「電子防御装置」を発表しています。

軍事評論家・岡部いさく氏:
これは戦闘機の下に装備した一見燃料タンクのように見えるものなんですが「電子的に防御する装置」。

つまり敵のレーダーに対して妨害電波を発射したり、敵のレーダーが出している電波と同質の強力な電波を敵のレーダーに向かって発射することで「無力化」、つまり目標のレーダーを電波によって破壊することができる装備だという…能勢さんこれって「防御装置」なの?

能勢解説委員:
敵の各レーダーをピンポイントで電波によって狙い撃ちする能力がある。防衛装備庁で開発して現在試験をしている段階ですかね。
そしてこの種の航空機、すなわち「電子戦機」を探してみると…

岡部氏:
はい、電子戦機と言えばアメリカ軍とオーストラリア空軍で使っている「EA-18Gグラウラー」ですよね。実はこちらに視聴者の「どらけん」さんが作って貸してくださった模型がありますのでこちらで説明しましょう。

この主翼の下に付いているのが電子戦ポッドです。先端にプロペラがついていて、これで発電する。で、ここから敵のレーダーや通信装置に向けて妨害電波を出す。翼端にも電子装置がついているし、様々な電子攻撃:エレクトリック・アタックができる。

そして同じく主翼の下についている白いのが「AGM-88 HARM(ハーム)」、または最新のものは「AARGM」と呼ばれる対レーダーミサイルですね。これは発射すると敵のレーダーの電波を受けてそれに向かって飛ぶ爆風破砕弾頭を持ったミサイル。

ミサイル防衛に関する提言の中で「敵ミサイルレーダーサイトの無力化」と謳っているのは敵の弾道ミサイルの発射地点や基地を攻撃するにあたっては、まずレーダー基地を破壊しなくては攻撃はできないですよという意味なんですね。

能勢解説委員:
そういうことなんです。敵が弾道ミサイルを持っています。だけどその周りには防空ミサイルや機関砲などがあって護りを固めているでしょうと…そこで敵の弾道ミサイルの発射と装置を狙うとしたら、まず敵の「目」を破壊しないと危なくて弾道ミサイルをつぶしに行けない。

ただ、小野寺さんたちがまとめた提言の中には具体的にどうするかは書いていないんです。ところで電子戦機EA-18グラウラーというのはアメリカ軍の中でもなかなか変わった運営をしていますよね?

岡部氏:
はい。本来は空母に乗っている機体なんですが、陸上基地に展開することもあり実際、青森県の三沢基地にも来ています。しかも空軍と共同運用とかもしている。
オーストラリアは同じ機体を持っていてインターオペラビリティ:相互運用性を高める意味でもお互いの人員を交換したりもして…

能勢解説委員:
自民党で小野寺さんたちによって作られた提言というものはグラウラー部隊の運用や国産の電子防御装置など、様々なものを視野に入れたものなのかも知れませんが、新しくグラウラーを買うというのは予算も莫大になる話です。

岡部:
そうするとアメリカとオーストラリアの間で部隊運用はどうやっているのかということも研究する必要があるかもしれませんね。

敵の「目」であるレーダーを電波で破壊するというのは実は簡単にはいかない。敵のレーダーの出す電波には様々な種類があって、どのレーダーがどんな電波を出してくるのか、どのくらいの強さか、そのレーダーはどんな使い方をするのかといった膨大なデータを持っていないと、うまく敵のレーダーに対し破壊に適した妨害電波でつぶすことはできない。おそらくアメリカ軍はそれを持っているし、オーストラリア空軍がグラウラーを買ったというのは、そのデータをもらえたりしているんでしょう。

さて、日本は大丈夫でしょうか…情報の共有という意味でも課題があります。

能勢解説委員:
EA-18グラウラーは秘密も多い機体だと聞いています。なかなか大変かもしれないですね。
( 文責:松島 スタッフ:能勢・北原)