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中高級一眼レフ「D850」進化へ。ニコン、カメラ復活の処方箋

8/8(火) 9:45配信

ニュースイッチ

「売上高が下がっても利益を稼ぐ」(牛田社長)

 ニコンは高画素タイプの中高級一眼レフカメラ「D850」の開発を進めていることを明らかにした。最高級機「D5」に次ぐ機種となる。現行機種「D810」を進化させ、より高精細な描写と高速連続撮影を両立させる。機種名の数字を810から850に一気に増やし、大幅に進化させる。同社は7月に創立100周年を迎えた。光学技術の会社として成長の意志を明確にした。

 カメラ業界2位のニコンが、復権に向けて身を切る姿勢で挑んでいる。1000人超の人員削減に続き、ユーザーの期待が大きかった高級コンパクトカメラの発売を断念した。

 ニコンが発売中止を決めた「DLシリーズ」などの高級コンパクトカメラは、縮小するカメラ市場の中で安定した人気があり、単価も高い。

 「英断だ」(カメラ大手役員)という声がある一方、ニコンの強みを発揮すべき分野であるため、「発売中止は理解に苦しむ」(国内証券シニアアナリスト)と厳しい声も上がる。

 市場とニコンの乖離(かいり)は他にもある。拡大しているミラーレスカメラ市場に十分に商品を出せていない。360度を撮影するアクションカメラはスマートフォンとの接続性で評判が悪く、計画の半分にも届いていない。

 カメラなどの映像事業は同社の売上高の半分以上を占め、ブランドをけん引してきた。期待を裏切る負の連鎖を早く断ち切らなければいけない。

 映像事業を担当する御給伸好常務執行役員は、「基本性能や質感がしっかりした『ニコンだな』と思ってもらえるものを出す」と話す。ブランド力を生かせる中・高級一眼レフや交換用レンズ、ミラーレスカメラを強化する。ミラーレスは早期に品ぞろえを増やす。

 課題は、DLやアクションカメラで起きた開発遅れにつながるリソースの配分ミスや、ユーザーが求める条件とのずれをなくすことだ。「商品化プロセスを抜本的に見直す。近道はない」(同)。

 ニコンは2月に光学部品の生産を集約し、4月に各事業部に分散していた光学設計機能を集めて光学本部を新設した。同本部を中心に、産業用レンズで培った設計技術を民生用カメラに応用する。産業用レンズの加工コストは数千万円かかるため、設計技術の要素を取り出し、カメラに搭載できる水準までコストを抑える。2―3年内をめどに、ミラーレスカメラなどへ搭載を目指す。

 牛田一雄社長は「構造改革はあらゆる可能性を排除しない。製品面では、やはり一眼レフの中高級機で勝負すべきだ。ジャンルトップを狙い、売上高が下がっても利益を稼ぐ」と話す。

 さらに「スマートフォンで育った世代には、性能面で他社に差をつけた“ニコンらしい”ミラーレスカメラを出す。産業用レンズ技術を活用し、レンズの性能で圧倒したい。一方で、遊び心も必要だ。『女性が使いやすい一眼レフ』などのプロジェクトがあっても良い」とし、復活にあの手この手で巻き返す考えだ。