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【MotoGPコラム】チェコで躍動した”東南アジア”の風。地域全体の競技水準も上昇中

8/8(火) 12:27配信

motorsport.com 日本版

 2017年後半戦の端緒を切った第10戦チェコGPで、アジア勢の選手たちが存在感を発揮した。

【写真】チェコGPのMoto3クラスで9位に入ったアダム・ノロディン

 Moto3クラスでは、世界選手権参戦2年目になるマレーシア人のアダム・ノロディン(SIC Racing Team)が9位でゴール。8列目24番グリッドからのスタートで、シングルフィニッシュを果たしたのだから、この追い上げは上出来といっていいだろう。また、そのひとつ背後ではタイ人選手ナカリン・アティラプワパ(Honda Team Asia)が10位でチェッカーフラッグを受けた。アティラプワパは、レース序盤にリズムの良い追い上げを見せ、一時は3番手につけて表彰台圏内も伺う走りを見せた。

 Moto2クラスでは、マレーシア出身のカイルール・イダム・パウィ(IDEMITSU Honda Team Asia)が14位、同国出身の先輩ハフィズ・シャーリン(Petronas Raceline Malaysia)が15位でフィニッシュし、ともにチャンピオンシップポイントを獲得した。パウイは世界選手権デビューイヤーの昨年、Moto3クラスのフル参戦2戦目アルゼンチンGPでいきなり独走優勝を達成し、一気にその名を知らしめた。東南アジア出身選手初となる世界選手権優勝にマレーシアは沸き立ち、ナジブ・ラザク首相がツイッターで祝賀メッセージも発表したほどだ。パウィはこの年、第9戦ドイツGPでも2勝目を挙げている。

 日本のレースファンの目に彼ら東南アジア勢の選手たちが果たしてどんなふうに映っているのかはわからないが、現場でいつも取材をしていると、彼らの動向やレース結果は妙に気になる。彼らと接する機会も少なからずあり、同じアジア人同士という仲間意識のような感覚もあるからだろうか、彼らがレースで活躍すると、やはり親近感のようなものをおぼえる。

 とはいえ、彼らはまだ、欧州の強豪選手たちと毎戦、互角に上位争いをできるほどのレベルには達していない。だが、高い資質を備えていることは明らかで、彼らを氷山の頂点とする東南アジア地域全体の競技水準も、総じて上昇しているといっていいだろう。

 たとえば、その好例のひとつが鈴鹿4時間耐久ロードレースだ。鈴鹿8耐のサポートイベントで若手選手の登竜門として位置づけられているこのレースでは、近年、東南アジア勢の活躍がめざましい。ここ数年は、ほぼ毎年東南アジア勢がレースを席巻し、今年の4耐でもインドネシアのチームが優勝を果たした。

 二輪の量産車や関連製品分野では、東南アジア諸国が重要な市場であることはずいぶん以前から認識されている。これらの諸国ではレース人気も高く、シーズンオフには各メーカーとも広報活動の一環として各地域でMotoGPライダーたちのディーラー訪問やメディア取材等を精力的に行っている。

 ノロディンやパウィ、アティラプワパたちはそういうものを見て育ってきた世代だ。彼らの後ろには、さらに多くのライダーの卵たちが控えているだろう。その中から若い逸材を発掘し、育成するためのプログラムも、すでにいくつも運営されている。東南アジア出身選手たちが、レースの本場・欧州の強力なライダーたちを相手に、チャンピオン争いを繰り広げる姿を眺めることができれば、さぞや痛快なことだろう。

西村章