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山陽高ナインの勝利祈るビランさん 比出身、境遇困難も3年間野球

8/8(火) 23:24配信

山陽新聞デジタル

 第99回全国高校野球選手権大会の岡山県代表・山陽高(浅口市鴨方町六条院中)に、困難な境遇に負けることなく野球をやり通したフィリピン生まれの3年生部員がいる。ビラン・アンドレさん(18)。甲子園メンバーには選ばれなかったが「野球に打ち込んだ高校生活に悔いはない」と笑顔を見せ、仲間の勝利を祈っている。

 ビランさんはフィリピンで薬物中毒の両親の間に生まれた。ミルクを与えられず瀕死(ひんし)の状態だったところを偶然、後に“育ての母”となる日本人女性に発見され、命をつないだ。10歳のとき女性に呼び寄せられ来日。今は倉敷市で一緒に暮らしている。

 野球は主に、女性の知り合いの社会人選手から手ほどきを受けた。「奇跡的な出会いの連続。生んでくれた実母にも感謝している」と自らの人生を前向きに受け止める。

 男性の薦めもあり、高校は山陽を選んだ。投手志望だったが2年生の時に外野手に転向、懸命にレギュラーを目指した。だが結果を残せず、最終学年となった今夏の岡山大会もベンチ入りはかなわなかった。同校初の甲子園を懸け、引き分け再試合に持ち込まれた創志学園との決勝は、観客席から声をからした。

 「スタンドで応援できるだけでも夢のよう」と話す憧れの甲子園。実は聖光学院(福島)との1回戦(10日)は現地に赴けない。高校生のボランティア活動を顕彰するさいたま市でのイベント(9、10日)に参加するためだ。野球部は発展途上国へ中古の野球道具を贈る活動を続けており、その取り組みの発表を堤尚彦監督から託された。そちらも大切な役割だと思い、甲子園には帯同せず準備を進めてきた。

 秋の国体出場を視野に、居残った部員と練習も続けるビランさん。「すごい粘りで甲子園を決めた仲間や、監督の『絶対勝つ』という言葉を信じている」。山陽は初戦を突破すれば15日に2回戦を迎える。そのときこそアルプススタンドに陣取り、全力でナインを応援するつもりでいる。