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どうしたらいい?子どもに対してイラつき、カッとなってしまいます

8/8(火) 17:03配信

ベネッセ 教育情報サイト

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
子どもがわかっていない内容について、ついイライラして、カッとなってしまいます。そして怒号調で説明するので、子どもはおそらく怖くて内容を理解していないと思います。その場を何とかやりすごすことだけ念じて、じーっとしています。昔の自分を思い出しました。親にされたことを現在の私がしているのです。情けないです。でも放棄したら、自分の親と同じです。だから私は決してあきらめません。必ず的確な方法があるはずです。それが見つかるまでがんばりたいのですが、具体的に何をどうすればよいのか、わかりません。
(33さん)

【親野先生のアドバイス】

33さん、拝読いたしました。

子どもと一緒にいてまったくイライラしないという人は、そうそういないと思います。
というのも、子どもは、もともと大人の神経に障ることをするようにできているからです。
それは、皆さんが日々感じていることだと思います。
でも、本当はこれが真の理由ではないと私は感じています。

真の理由は別のところにあります。
それは、子どもが大人より弱い相手だからです。
つまり、人は、自分より明らかに弱い相手に対しては心のブレーキが効かないのです。

ブレーキがかからないので、イライラがどんどんふくらんでいき、他のことで溜め込んでいたものがすべてそこに出てしまいます。

つまり、子どもに対して大人は、特に親は、自分のストレスをぶつけてしまいやすいのです。
そして、そのとき、必ず「子どものために叱っているのだ」ということにしています。

でも、実際は、それは言い訳なのです。

その証拠に、子どもが同じようなことをしても、またはもっとひどいことをしても、心にゆとりがあるときは笑って済ませられるということがよくあります。

私は、このような自分の心の動き方によくよく気付いていることが大切だと思います。

心は常に自分を正当化しようとしますので、十分気を付けている必要があるのです。
心は、自分で自分をだますことにかけては天才的です。
そして、自分で自分をだますのが一番お手軽な道なのです。
そうすれば、すべては相手のせいということで、自分が変わる必要がないからです。

イライラするのは子どものせい、夫のせい、妻のせい、それが一番お手軽です。
そして、イライラを爆発させてすっきりしてそれでおしまい、一件落着です。
その後も、「イライラさせたのは相手なのだから仕方がない」というわけで、自分は何のやましさもない安全地帯にいられるわけです。
でも、これでは問題は何一つ解決されませんし、必ず自分に跳ね返ってきます。

では、いつ跳ね返ってくるのでしょうか?
すぐのものもありますし、時間がかかるものもあります。
本人も忘れてしまったころに返ってくるものもあります。
そして、そのとき、私たちは、「なぜそんなことになるのか、さっぱりわからない」と首を傾げるのです。

これが親子関係に影響を与えるのは、まず間違いありません。
そして、子どもが成人したときはアダルトチルドレンになる可能性が高いのです。
アダルトチルドレンの割合は、成人の6割から7割といわれるくらい高いのです。
そのなかの何割かは、深刻な精神的ダメージを受けているといわれています。

33さんは、このような危険に気付いていると思います。
気付いているから、相談しているのです。
問題を感じていないなら、そもそも相談などしません。
そして、それに気付いたのは、とても大きな一歩だと思います。
気付いたときから、少しずつ自分の進む方向が変わっていくからです。

では、どうしたらいいのでしょうか?
私は、まず、自分の心の動きを意識するようにすることをおすすめします。
つまり、自分の感情や思考を客観的に見ていられるようにすることです。

「今自分はあまりいい状態ではないな」
「ストレスがたまってきているな」
「あっ、今自分はイライラしているな」
「もうすぐ切れそうだな」
「子どものあの一言でかなりイライラしてきたな」

このように自分の心を見つめて、その動きに気付くことができると、それだけでかなり落ち着くものなのです。
不思議なことに、無理にそれを押さえようとしなくても、気付いているだけで落ち着いてくるのです。
これを私は日々実体験していますので、自信をもっておすすめします。

これは、子どもとのことだけでなく、またイライラという感情だけにとどまりません。

一人でいるときも、または別の誰かといるときも、できるだけ自分の心の動きに気付くようにしていることをおすすめします。
「今自分は楽しい気分だな」
「今日は起きたときから憂うつだ」
「あれ、太陽が出てきただけで、自分の気分がよくなった」
「何かすっきりしない感じだな」
「今朝も夫にいつものいやみを言われたけど、今日は不快にならないな」

このように普段からできるだけ心がけることが大事です。
それでないと、子どもといるときだけ気を付けようとしても無理です。

すぐにはなかなかできないかもしれませんが、続けていると、少しずつできるようになってきます。
そうなってくると、自分の心がとても落ち着いてきます。
先ほども言ったように、無理に押さえつけるのでなくても気付いているだけで、落ち着いてくるのです。

そして、だんだん、自分はどんなときにイライラするかということもわかってきます。

曇りの日はイライラしやすい、仕事のストレスがたまると子どもにぶつけている、日曜日の午後からかなり不機嫌になる、木曜日くらいから安定してくる、夫の○○という一言に過剰に反応する、子どもの○○な行いに過剰に反応する……。

このような自分の傾向がわかってくると、対応もかなり違ってくるはずです。
また、ある程度の予防もできるはずです。
危ないときは、子どもと物理的に離れることも効果があります。
私も、教師時代に、イライラして「このまま子どもと一緒にいると危ないな」と感じたときは、職員室に行ってボーっとしたりお茶を飲んだり同僚とおしゃべりしたりするようにしていました。
このような逃避行はとても大切です。

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