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夫は不在がち、1人で育児 ー 駐在妻たちの孤独な日々

8/8(火) 16:50配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

海外赴任に帯同する「駐在妻」は、独特の優雅なイメージを持つ。実際にメイドや運転手を雇うことができ、日本よりもゆとりがある暮らしができるケースもある。しかし、駐在妻という存在は、ある意味で日本での妻・母以上に役割規範を抱えやすい側面がある。

【画像】筆者自身、この春からシンガポールで子育てをしている。

現地でワンオペなら日本の方がマシ

多くの海外駐在は、単身赴任者や独身者にとっても非常に負担が大きいものだ。駐在する本人は、ほんの数カ月前に辞令を受け、行ったとたんに国内外に出張だらけということも珍しくない。見知らぬ地で生活基盤を整えること、日本にいる誰かに「あれ送って」「日本でこの手続きやっておいて」などお願いすることを含めて、実家や配偶者のサポートなしのセットアップはときに困難である。

私自身、今年の春から夫の赴任に伴い、シンガポールに家族で引っ越すことを決めた。その過程で、海外で子育てをしながら自身のキャリアについても模索する女性たちとコミュニティー(オンラインサロン)を作り、情報交換をしている。そこで聞く限り、赴任が決まった本人ももちろん大変だろうが、サポートする側も苦労が絶えない。

よく夫が先に赴任して「家族は後から呼び寄せる」などと簡単に言うが、子どもがいれば数カ月の完全ワンオペ育児を回しながら、荷物を最後にまとめて家を引き払うなどの負担は妻だけにかかる。特に子どもを帯同させる場合、子どもの学校の手配などをすることになるのは母親であることが多い。

私個人の場合は勤めていた会社に理解があったこと、夫不在では仕事と育児の両立が困難になると感じたことから、夫の赴任と同時に帯同した。日本から距離が近い、英語が通じる、治安がいいなどシンガポールゆえにすんなり決断できた側面もある。夫がメキシコに赴任した女性は、「夫はメキシコから米国に出張していることも多く、結局メキシコでワンオペ育児をするなら日本でしたほうがマシかも」と帯同を躊躇していた。

減る祝日。年末年始も1日だけ休みの場合も

意外と海外で赴任者のワークライフバランスが改善しないという実態もある。山本勲氏・黒田祥子氏『労働時間の経済分析』では、日系グローバル企業に勤めている日本人が欧州に赴任すると、仕事量の変化や景気の違いなどをコントロールした上でも赴任前より労働時間が有意に減少すると分析している。

同研究のインタビュー調査では、日本では社内会議のための美しい資料作成など、利益をもたらさない仕事にも過度な丁寧さを求める職場慣行が指摘されている。確かに、現地の働き方に影響を受けると、こうした非効率な労働時間が減る面はあるだろう。

しかし、地域によっては時差で日本に合わせて不規則な生活を強いられる場合もあるし、日本の祝日は滞在国のビジネスが動いているので働き、一方滞在国の祝日は日本が動いているので働く……といった形で休みがとりにくくなるケースもよく聞く。たとえば日本では1週間程度は休むことができた年末年始は、海外駐在中は1月1日だけということも多い。

女性側の赴任なども増える中で、これら全てを自らやって母子赴任しているケース、夫のほうが子どもと日本に残る、夫が仕事を辞めたり調整したりして帯同するケースも出てきてはいる。しかし、子どもにとっての祖母が“暗躍”している場合もあり、いずれにせよ家庭内の誰か、主に女性が試行錯誤しながら無償労働をしてようやくなりたっているのが日本の「赴任」ではないか。

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