ここから本文です

地中海から広がる「静かな革命」-ミニマル建築の目標は生活の質向上

8/7(月) 6:44配信

Bloomberg

2004年、スペインは空前の巨大建築ブームに沸いていた。ユーロ圏の金利の低い巨額融資が橋やオペラハウス、市民センターといった公共建造物に投じられていた。大方の建築家が受注を目指す中で、バレンシア生まれのフラン・シルベストレ氏は違っていた。

建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞したアルベロ・シザ氏の下でポルトガルで修行したシルベストレ氏は、地中海沿いの故郷に戻り、幾つかの住宅を手掛けた。白い外観の美しい小さな家だ。

シルベストレ氏(41)は「若い建築家が行政機関と共に働くのは信じられないほど難しい。それに加え、巨大な建物で新しいアイデアを試したり、人々の考え方を変えるのは不可能だ」と語る。小さな住宅がこの仕事について学ぶ自由を同氏に与えた。「オペラハウスは大プロジェクトだが、大問題でもある」と同氏は指摘する。

巨大建築ブームは10年足らずでスペインの不況と共に消え去り、シルベストレ氏のキャリアが花開いた。ミニマルで極めて斬新な設計と共に、インテリアデザイナーのアンドレス・アルファロ・ホフマン氏との協業が評価されている。

シルベストレ、ホフマン両氏は建築におけるホリスティックアプローチの先駆者だ。屋根の形状からドアノブまであらゆる物を全体的に捉える。シルベストレ氏が11年に手掛けた「ハウス・オン・ザ・クリフ(崖の上の家)」では、ホフマン氏が仕上げと間取りに協力。地中海を望む景色となじむようにインテリアのデザインも手伝った。

世界中でゆっくりと広がるインテリアとエクステリアのデザインの融合という設計コンセプトの最前線に立つのがシルベストレ氏のチームだ。このコンセプト自体は建築史を形成するほど古く、ルネサンス期のアンドレア・パラディオ、より最近では米国のフランク・ロイド・ライドが手掛けた建築はその例だ。

米デラウェア大学のサンディー・アイゼンシュタット教授(近代建築史)によれば、「モダニズムではエクステリアとインテリアを関連付けるという原則が最も顕著だった」。だが1970年代までにそうした哲学の熱気はなくなっていたが、一部でミニマリズムへの支持が始まり、このトレンドが戻ってきた。

1/2ページ

最終更新:8/7(月) 6:44
Bloomberg