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生協がCO2フリー水素を“配達”、宮城県で実証へ

8/9(水) 7:10配信

スマートジャパン

 日立製作所、丸紅、みやぎ生活協同組合および宮城県富谷市は、太陽光発電システムで発電した電力と水電解装置で水素を製造し、需要家のエネルギーとして活用するサプライチェーン構築実証を同市内で行うと発表した。今回の実証は、環境省の「平成29年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」に採択されたもので、2017年8月から実証を行い、成果を2019年度までにまとめる予定だ。

 太陽光などの再生可能エネルギーは、気象条件などにより発電量が変動することから、電力を安定供給するために、余剰電力を水素に変換して貯蔵する方法が注目されている。また、水素はCO2を排出せず効率的に利活用できるため、地球温暖化対策にも有効なエネルギーであり、水素を利活用してCO2排出量を削減するサプライチェーンの構築が求められる。

 今回、4者は太陽光発電システムで発電した電力を水素に変換させ、エネルギーとして水素を貯蔵し、富谷市内にあるみやぎ生協組合員の家庭、みやぎ生協店舗および児童クラブに水素エネルギーの供給を行うサプライチェーンを構築する実証を開始する。

 実証では、みやぎ生協の物流センターに既設の太陽光発電システムを利用して発電を行う。発電した電力は水電解装置で水素に変換される。その水素を冷却や加圧を行うと水素を吸収し、加熱や減圧で放出する合金である水素吸蔵合金カセットに貯蔵する。その上で、みやぎ生協の既存物流ネットワークを利活用して配達品とともに利用者に輸送される。そして、輸送された水素吸蔵合金カセットを純水素燃料電池に取り付け、水素を取り出して電気や熱に再変換することで、需要家はエネルギーとして活用できる。

 今回の実証は、既存の物流ネットワークを利活用するため、低炭素・低コストで水素を輸送することが可能だ。また、各家庭の燃料電池に貯蔵された水素は、太陽光による発電電力が減少する夕方から夜間にかけて利用することを想定している。さらに、地産地消型の水素需給体制のサプライチェーンを実証することから、実証の成果は全国への展開が可能であり、民生向けの水素利用の拡大や、CO2排出削減への貢献が期待されるとする。

 日立は、実証の取りまとめ企業としてシステム全体を設計し、水電解装置や燃料電池などの主要機器を調達・据付するとともに、需給バランスを保ちながら水素貯蔵・配送計画を行う全体運用を管理する。丸紅は、事業化する上での経済性などの課題を抽出し、課題解決に向けた施策を提言する。また、みやぎ生協は、水素サプライチェーンの実証運転を担当。富谷市は、実証場所を提供するとともに、宮城県が策定した「みやぎ水素エネルギー利活用推進ビジョン」に基づき水素サプライチェーンの普及・促進に向けた啓発活動や、水素社会の構築などCO2を排出しない未来都市構想を検討する。

 同市は今後、四者は、CO2を排出しない未来都市を目指し、富谷市で構築したサプライチェーンを宮城県内全域から東北地域や全国に向けて拡大を図る考えだ。