ここから本文です

母校廃部の教訓、采配に生かす PL出身の津田学園監督

8/9(水) 7:44配信

朝日新聞デジタル

(8日、高校野球 津田学園7―6藤枝明誠)

 延長十一回の接戦を制し、初出場の三重代表・津田学園の佐川竜朗監督(39)は試合後、晴れ晴れとした表情を浮かべた。

【写真】延長十一回裏津田学園2死一、二塁、宮木はサヨナラの中越え適時二塁打を放つ

 母校は春夏7度の優勝を誇る大阪・PL学園。21年前の8月8日は、選手として甲子園の開会式に臨んだ。2008年に津田学園の監督に就任してからは、母校の教えを支えに指導してきた。

 選手時代、野球漬けの毎日だった一方、毎朝と夕、寮付近を清掃するのが日課だった。中村順司監督から「野球よりも生活面で口酸っぱく指導されました」。

 自身も指導者になって、受け継ぐ。部員らにあいさつや身なりを徹底させ、生活態度に問題があればプレーさせないなど厳しく指導してきた。

 母校は暴力問題がきっかけで、昨夏の大阪大会を最後に高校野球の舞台から姿を消した。その教訓も胸に秘める。「厳しくも、いかに楽しくやらせてあげられるか。教育現場という自覚を持たないといけない」

 選手の自主性を尊重し、試合中の継投や守備位置も選手に考えさせる。ミスをしても丁寧に指導する。練習で部員に紛れて守備につくなど、選手と近い距離でのコミュニケーションを心がけてきた。

 水谷翼主将(3年)は「父のような存在。叱られても僕たちのことを思ってくださっているのが伝わってくる」と話す。

 選手を信じ抜く姿勢は、采配にも色濃く出る。

 この日の試合、津田学園は四、五回と2度リードするも、投手陣の制球の乱れもあり、同点に追いつかれた。延長十回、藤枝明誠(静岡)に得点圏の走者を許す緊迫した場面もあったが、選手を代えたりはしなかった。

 試合後、佐川監督は「三重大会以上に(判断を)任せると試合前から(選手に)言っていた。本当によく頑張ってくれた」と語った。母校の伝統を受け継ぎ、新たな風を吹き込みつかんだ甲子園での1勝。「明日からは再スタートです」。早くも次戦を見据える。

 津田学園は、大会第7日の2回戦(14日午後3時半予定)で済美(愛媛)と対戦する。(三浦惇平)

朝日新聞社