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「共同体」問われる結束=南シナ海問題で亀裂も―ASEAN発足50年

8/9(水) 7:05配信

時事通信

 【マニラ時事】東南アジア諸国連合(ASEAN)が発足し、8日で50年を迎えた。

 当初「反共産主義」の5カ国にすぎなかった加盟国は、地域をほぼ網羅する10カ国に拡大。2015年末には経済など三つの柱からなる「ASEAN共同体」が発足し、経済統合も進む。ただ、域内では中国が影響力を拡大して、南シナ海問題などをめぐり加盟国間の「亀裂」が常態化し、結束が問われる事態になっている。

 ◇対立から平和へ
 ASEAN発足当時、東南アジアはベトナム戦争が泥沼化。加盟国間ですら発足前に紛争が起きて、「アジアの『バルカン半島』になる懸念も出ていた」(インドネシアのルトノ外相)。しかし、対話の進展により徐々に安定化に向かい、1995年には社会主義国のベトナムが加盟。ASEANが主導し、アジア太平洋地域の安全保障対話の枠組みとなるASEAN地域フォーラム(ARF)も誕生するなど「平和と安定のエンジン」(同外相)の役割も果たすようになった。

 地域の安定化により、経済成長も著しい。加盟国全体の国内総生産(GDP)はアジアで中国、日本に次ぐ規模まで拡大。経済統合に向けた貿易自由化も加速し、域内の関税撤廃率は15年時点で既に96%を達成した。インドシナ半島では各国を横断するインフラ整備も行われ、「単一市場」実現に向けた取り組みが進む。

 ◇コンセンサスあだに
 一方で課題も浮き彫りになっている。ASEANは加盟国間の経済格差や政治体制の違いから、コンセンサス(全会一致)を重視する「緩やかな連合体」を目指してきたが、一部の国が中国と領有権争いを抱える南シナ海問題では、対中スタンスの違いから意見の対立が目立ち、一致した対応が取れない状況が続く。

 12年にカンボジアで開かれた外相会議では、南シナ海問題をめぐって協議が決裂し、創設以来初めて共同声明が出せない事態に陥った。その後も中国は南沙(英語名スプラトリー)諸島の軍事拠点化を急速に進める一方で、経済力を武器に各国の取り込みを強化。対中強硬派の筆頭だったフィリピンも、経済支援を狙うドゥテルテ政権が昨年誕生したことで「親中派」に転じた。団結を基盤に国際社会で影響力を強めてきたASEANは、大きな岐路に差し掛かっている。 

最終更新:8/9(水) 10:19
時事通信