ここから本文です

<東芝>監査法人と対立緩和へ 信頼回復は遠く

8/9(水) 8:00配信

毎日新聞

 PwCあらた監査法人が、東芝の2017年3月期決算の有価証券報告書に「限定付き適正意見」を出す見通しとなったことで、会計処理を巡り企業と監査法人が真っ向対立する異常事態はようやく緩和に向かうことになった。ただ、米原発事業を巡る損失が適切に計上されなかった疑いは残り、東芝が信頼を取り戻すには遠い状況だ。

 監査の争点になったのは、米国の原発建設プロジェクトの遅延に伴う損失を、東芝がいつの時点で認識したか。東芝は「16年12月に、プロジェクトを請け負う米原子力子会社ウェスチングハウス(WH)から損失の存在について初めて報告を受けた」として、16年4~12月期決算に7000億円を超える関連損失を計上した。一方、PwC側は「東芝が15年度中には損失を認識していた可能性がある」と主張。損失は認識した時期に計上するルールのため、16年3月期にさかのぼって決算を下方修正するよう求めた。

 東芝は15年に発覚した不正会計問題で、15年3月期決算の修正に追い込まれており、16年3月期決算まで決算修正に追い込まれる事態は避けたかった。両者の意見が平行線をたどる中で、PwC側は4段階ある監査意見で最も厳しい「不適正」を出すことを検討した。

 だが、不適正意見が出た場合、東京証券取引所が実施している東芝の上場廃止の審査に重大な悪影響を与えるのは必至で、東芝側は、「不適正を出すのであれば、本来の正しい決算を提示する必要がある」とPwC側に要求した。PwC側が慎重に検討した結果、不適正を出すほどの根拠も得られないと判断。限定付きの適正意見に傾いた。

 ただし、同時に報告する内部管理体制の報告書に対しては、依然として「不適正」を出す可能性も残る。東芝は決算に「お墨付き」を得たとの立場だが、内部管理体制に不備があると判断された場合、上場廃止審査に大きな悪影響が出る可能性は残る。【坂井隆之】

最終更新:8/9(水) 8:00
毎日新聞