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川崎特産「宮前メロン」、担い手不足で消滅の危機

8/9(水) 7:55配信

産経新聞

 川崎市宮前区の特産フルーツ「宮前メロン」が、生産農家の高齢化や後継者不在による担い手不足で、消滅の危機を迎えている。今年の生産量は最盛期の約3分の1の4千個。生産農家やJAセレサ川崎などの関係者は「このまま無くしてしまうのはもったいない。ブランドをなんとか残せないものか」と切実な思いを抱えている。(外崎晃彦)

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 宮前メロンは、同区で生産するメロンのブランドで、栽培開始は昭和52年。57年から「宮前メロン」の名称で売り出した。3月に種をまき、6月に収穫するという。

 ■贈答用として人気

 今年の栽培面積は2軒の農家で計約900坪。アールス系の品種でマスクメロンの一種で、「マスク」(麝香(じゃこう))を感じさせる上品な香りと、ねっとりとした食感、甘さが特徴だ。このため、贈答用として人気がある。

 7月に同市役所で行われた毎年恒例の贈呈式では、試食した福田紀彦市長が「市内でこんなにおいしいメロンがとれるなんて、信じられない思いだ」と驚きの声をあげた。

 同月1~10日に販売する予定だったが、予約多数のため、開始から5日間で打ち切った。価格は1個2千~2600円となっている。

 宮前区では昭和50年代から本格的にメロンを栽培し、最盛期には7軒の農家が約1万2千個の宮前メロンを収穫していた。しかし、近年は高齢化や後継者不足、他業種への転向などで栽培農家が減少。今年は2軒の農家が4千個を生産するにとどまった。

 ■存続へ改称案も検討

 関係者によると、宮前メロンの栽培は水、温度、土壌の管理など高度な技術が必要だという。

 生産者の井上国夫さん(63)=同区野川=は「生産したい人がいれば技術を伝える。宮前区以外のメロンで、ブランド名を使用してもいい。『川崎メロン』と改称するなどの案もある」と話し、生産者を広く募っている。

 福田市長は「市外の知人は、工業地域の印象が強い川崎でメロンがとれるという事実と、あまりのおいしさに2度驚いていた。もう少し生産量が増えればいいと思う」と話し、栽培農家の増加に期待を示している。

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【用語解説】宮前区

 昭和57年7月1日、川崎市の高津区からの分区により誕生。区名は一般公募で決まった。明治22(1889)年、町村制の実施で生まれた宮前(みやさき)村が由来。また、宮前の村名は、村のほぼ中央に位置した女躰権現社(現・馬絹神社)に「宮ノ前(みやのまえ)」の字名があったことなどから名付けられた。

最終更新:8/9(水) 7:55
産経新聞